コープさっぽろ(本部・札幌市)は11日、札幌コンベンションセンターで2013年度生協会総会を開催した。生協会は、コープさっぽろの取引先など約800社で構成される団体。総会には573社、1008人が出席、会長の平公夫ナシオ社長の挨拶の後、12年度の事業報告や決算報告、13年度活動計画などが了承された。続いて、大見英明コープさっぽろ理事長が近況報告、その後東京大学高齢社会総合研究機構辻哲夫特任教授が『超高齢社会への生協の対応』をテーマに講演した。(写真は、大見英明理事長=左と辻東大特任教授)
近況報告で大見理事長は、「組合員の声を聞き実行し信頼関係の連鎖を継続していく」と強調、昨年度1年間で8747件の要望・意見があったことを示し、それらがデータベース化され年度ごとの要望・意見の数と内容の変化を把握しているとした。こうした組合員の声を反映した店づくりを徹底しているのが「西宮の沢店」(札幌市西区)で、「来店客の13%が店への要望を出し、店長とのキャッチボールで既存店事業引き上げの原動力になっている」と報告した。
中国製の餃子事件を教訓クレーム等は1ヵ月以内に対応することが組合員の信頼を繋ぎとめる鍵だとして、各店舗で『かいぜん新聞』を発行、新しいコミュニケーションツールになっていることも明らかにした。
また、大見理事長は今年度に①60歳以上無料配達の『らくちん当日便』(昨年度全道で37万件の利用)で住所記入の手間を省くカードリーダー導入とアイスクリーム以外の商品すべてに対応できる蓄冷材、冷凍庫の全店導入を秋までに実施②組合員になるための出資金下限を1000円にして組合員を1年間で10万人増加させ、客単価の上昇による既存店成長の原動力とする――方針を説明した。
コープさっぽろの事業は1700億円の店舗売上げ、700億円の宅配売上げ、45万人の共済加入、13万人の灯油供給、1万7000人の配食事業、1万8000人の買い物難民に向けた移動販売、3万人の旅行利用があり、葬祭事業の『フリエ』もそこに加わる。「小売業と組合員の暮らしを支える事業を重層化しながら変化を推進していく」(大見理事長)と参加した生協会各会員に呼びかけた。
『超高齢社会への生協の対応』と題して講演した辻・東大高齢社会総合研究機構特任教授は、2030年には75歳以上が総人口の5分の1を占め55年までを見ても75歳以上が4分の1以上になるため生活習慣病予防、介護予防が核になる地域包括支援ケアシステムが不可欠と説明。
「食の視点や生き甲斐就労、高齢者見守りなど生協は超高齢化社会の中で可能性に満ちた組織だ。また、地域の互助を新たに作って行かなければならず生協への期待は大きい」と述べた。