コープさっぽろが「第3回食育研究会兼第1回教育農場研究会」を開催、大見英明理事長「食の科学大学を将来的に想定」

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IMG_0902IMG_0908 コープさっぽろ(本部・札幌市)は18日、京王プラザホテル札幌で第3回食育研究会兼第1回教育農場研究会を開催した。主婦や社会人、修学旅行生などの農業体験を受け入れている生産者の実例や企業の食育実践の取り組みが報告された。コープさっぽろの大見英明理事長は、「食育の教育的価値を高めて将来的には食の科学大学のような専門的大学を想定している」と総括した。企業や生産者等約200人が出席した。(写真は、食育の実践例を報告する三田村雅人氏=左と後藤進氏)
 
 最初にコープさっぽろ教育農場研究会の座長でもある「ふれあい体験農園みたむら農園」(由仁町)の三田村雅人氏が2002年3月から始めた「農業小学校」の取り組みを紹介。小学校と言っても実際の参加者は主婦や社会人男性が多く、大人が時間をかけて農園まで通い農業体験をする食育プログラムになっており、「小学生などの子供たちにも伝えたいが、学校教育の中では時間がないのが問題点」と指摘した。
 
 真狩村のごとう農園は、関西の高校の修学旅行生を受け入れているが、園主の後藤進氏は「日帰りや1泊、さらに連泊のパターンもある。200人単位で体験に来るので宿泊場所の農家を探すのもひと苦労。後志管内のほか胆振管内の農家にも分散宿泊している」と話した。芋ほり体験や間伐によって薪を作る意味、トウモロコシのf1品種など食を取り巻くバックグウンドまで一歩踏み込んだ説明をしていることが報告された。
 
 続いて札幌市南区の砥山ふれあい果樹園の瀬戸修一氏が、農業と自然を親子で体感してもらう「砥山農業小学校」について紹介。「私たち農家の経営が大変でこのままでは農業を続けて行けないため、食えるようにしたいという一心で観光農園に切り替えた」と最初の動機を披露。「農家自ら情報発信して農業のことを知ってもらうことが食育にも通じる。10年前は砥山という地名さえ知らない人が多く訪れる人は年間1万人にも満たなかったが今では年間10万人が砥山を訪れている」と情報発信の効果は様々な波及効果をもたらしていることを訴えた。
 
 キッコーマンのコーポレートコミュニケーション部の岡村氏は、同社が行っている食育活動について説明。社員が小学校に出向いて実践しているしょうゆ塾のデモ授業のさわりを開陳、「しょうゆの香りは発酵によって300種にもなる。バニラアイスにしょうゆを何滴か垂らすととても美味しくなる」などと話した。
 
 最後に、研究会のまとめを行った大見理事長は、「道内の生産者の価値を消費者が理解することが大切だ。食育の教育的価値を高めて理解が本物になることをサポートするのがコープさっぽろの食育研究会の目的」と語り、その際に参考にするべき事例としてイタリアの教育プログラムについて提示、「子供たちが楽しみながら仕事体験ができるキッザニアとのコラボレーションも図りながら、先進的な内容のある教育プログラムを作りたい」と締めくくった。

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