コープさっぽろ(本部・札幌市西区)は2023年7月14日、長万部町、黒松内町、豊浦町の「はしっこ同盟」3自治体と包括連携協定を締結した。手始めに、10月から長万部町と黒松内町の買い物困難地区で、移動販売車「カケル」の運行を始める。子育て、福祉、環境、高齢者対応などについても連携を深めていく。(写真は、コープさっぽろとの包括連携協定締結式。左から豊浦町・村井洋一、長万部町・木幡正志町長、コープさっぽろ・大見英明理事長、黒松内町・鎌田満町長)

「はしっこ同盟」とは、渡島管内の北端にある長万部町、後志管内の西端にある黒松内町、胆振管内の西端にある豊浦町がそれぞれ隣接し合っていることから、2019年4月に結成。北海道新幹線長万部駅の開業効果を高めることが大きな狙いで、観光振興、地域振興に協力し合おうというもの。今回、コープさっぽろが、地域自治体との連携を模索する中で、「はしっこ同盟」3町と包括的に連携することを確認、この日、コープさっぽろ本部で4者代表者が協定書に調印した。

 協定に基づき、長万部町では国縫地区、蕨岱地区、双葉地区、黒松内町では市街地以外を対象に、10月から「コープさっぽろ伊達店」(伊達市)で商品を積み込んで、移動販売車「カケル」1台を週2回運行する(豊浦町は2012年から運行中)。「カケル」の運行は、移動時間、販売時間などから商品を積み込む店舗から半径50㎞が限界だったが、今回は道央道を使うことによって移動時間を短縮、対応できるようにする。
 
 2町は、高速料金(月間約9万円)を負担する。「カケル」の運行で、自治体が費用負担するケースは初めて。「カケル」は2010年から運行を開始、現在は95台が135市町村を走っている。未対応地域での運行は、今回がモデルケースになる。

 コープさっぽろは、運行に向けて通常の2t車より大きい3t車を新たに導入する。積み込む商品点数は生鮮食品を含めた約1000品目で、従来と変わりはないが、トランクルームを設置するなどして、まとめ買い需要やコミュニティの集いなど、多人数向けの商品配達などにも取り組む。豊浦町では既に運行している1台に加えて2台目を導入して、運行地域を広げる。同町の1日の利用者は40人~45人、日販約10万円。

 調印式に出席した長万部町の木幡正志町長は、「地域に住む人たちは商店がなくなり、遠くまで買い物に行かなければならなくなっている。移動販売車の運行は大変ありがたい。コープさっぽろとの協定締結で、買い物以外の連携にも進んでいきたい」と話した。黒松内町の鎌田満町長は、「買い物難民対策は喫緊の課題。連携協定をもとに、さまざまな分野で地域の人たちが安心、安全に暮らしていけるような地域づくりを進めたい」と語った。
 豊浦町の村井洋一町長は、「コープさっぽろとの包括連携協定によって、住民サービスの向上をはじめ、安心、安全なまちづくりを進めて地域の活性化に取り組みたい」と述べた。



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