「北海道のGMS(総合スーパー)は、イオンの一人勝ちになるね」ーーつい数日前、ある道内スーパーのトップが漏らした言葉が、いよいよ現実になる。GMSの一角を占めていた「イトーヨーカドー」の道内撤退が具体化した。GMSを核とした大型ショッピングセンターでは、今でもイオンの一人勝ち状態になっており、「イトーヨーカドー」撤退で、北海道の大型店はイオンの寡占化が進む。(写真は、「イオン札幌苗穂ショッピングセンター」)

 食品と衣料品、日用雑貨品、家電製品などを総合的に扱うGMSの「イオン」は現在、北海道に36店舗ある。南は函館市、北は名寄市、東は根室市など全道各地に店舗網を張り巡らせている。ホクホーの時代から始まったGMS展開は、その後、北海道ニチイ、マイカル北海道、ポスフールと変遷を辿り、北海道にGMS最後発で進出してきたイオンと合流。さらにダイエー承継で、「イオン」の店舗網は広がっていった。

 週末、「イオン札幌発寒ショッピングセンター」や「イオン札幌苗穂ショッピングセンター」などは、駐車場が満杯になるほど多くの来店客で賑わう。時間消費型の大型ショッピングセンターは、今や道民にすっかり定着した。大型ショッピングセンターには、イトーヨーカドー系の「アリオ札幌」やサッポロビール系の「サッポロファクトリー」などがあるが、対抗軸と言えるほどの存在にはなっておらず、釧路市や北見市、旭川市なども含めてイオンショッピングセンターの存在感は圧倒的だ。

「ダイエー」、「イトーヨーカドー」、「ニチイ」、「長崎屋」、「西友」、「イオン」など北海道に進出してきたGMSで最後に残るのは、柔軟なM&Aを展開してきた「イオン」になる。GMSは、固定費がかさみ儲からないと言われているが、寡占状態になれば、集客力などさまざまな条件が変わる。儲からないGMSが儲かるGMSになる可能性が出てくる。儲かるGMSになれば、その資金力でスーパーマーケットや小型店展開の原資が生まれ、今以上の多店舗展開も可能になる。「イオン」一人勝ちは、北海道の流通業界を震撼させるほどのポテンシャルを形成しそうだ。
※2024年2月11日記事一部修正しました。イオン札幌苗穂ショッピングセンターの誤りでした。訂正いたします。

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