「札幌フードセンター平岸店」から「マックスバリュ平岸店」を経て「イオン南平岸店」へーー1976年10月に地下鉄南平岸駅(旧霊園前駅)のすぐそばにオープンしたスーパーマーケット(SM)は、47年の時を経て、洗練された、テイストを発信する新店舗に生まれ変わった。(写真は、「イオン南平岸店」の外観)
(写真は、買い物客で賑わう「イオン南平岸店」1階食品売り場)

 2023年11月22日、オープンした「イオン南平岸店」(札幌市豊平区平岸3条13丁目6-1)の店内でイオン北海道(本社・札幌市白石区)の青栁英樹社長は、お客の反応を見つめていた。旧「マックスバリュ平岸店」の建て替えにあたり、同社は商圏のマーケット調査を実施、品揃えの幅を広げることが不可欠として、GMS(総合スーパー)「イオン」のMD(販売政策)を取り入れたSMとして、この店舗を誕生させた。GMSの「イオン」をSMサイズに凝縮させた「エッセンシャルイオン」とも言えるものだ。
「これまで40数年間にわたって地域のお客さまに食の提案を続けてきたが、コスメ、ビューティー、健康といったイオンの強みを生かした生活提案もしていきたい。私たちも挑戦をしていかないと、新たな顧客開拓はできない」と青栁社長は言う。

(写真は、オープンキッチンのデリカ売り場)
(写真は、2階の「BODY LABO」コーナー)

 1階の食品売り場は、デパ地下のような空間が広がるが、競合他社の多い立地環境から価格面でも勝負できる値ごろ感を打ち出す。2階には、「マックスバリュ」業態にはない「イオン」カラーが展開されている。パン・菓子材料の「富澤商店」や「銀座千疋屋」の商品、全国各地の珈琲店から取り寄せたコーヒー、種類豊富な飲料、リカーなどが目を引く。
 そして、新たな提案が「BODY LABO」のコーナー。「CANMAKE」「CEZANNE」「WHOMEE」などのメイク用品や季節ごとの限定用品を揃えたアジアンコスメ、血圧計や野菜摂取量を測定できる機器を設置して、それと連動した、ヘルスケア商品を充実させたコーナーなどがある。

(写真は、「CANMAKE」のメイク用品)

 イオン北海道が、今回の建て替えに際して、「マックスバリュ」ではなく、「イオン」を冠したのには、もう一つの理由がある。それは、周辺に「マックスバリュ澄川店」、「ザ・ビッグ平岸店」があるため、「イオン」を加えた3業態とすることで、お客の選択肢を増やそうという“面”の戦略だ。また、それぞれ特売日が異なり、買い回りを誘発できるという判断もあった。

 同社の前身の1社である札幌フードセンターは、地下鉄開業時から沿線に店舗を出す“地下鉄立地”で成長してきた経緯がある。今回、地下鉄立地店舗の初の建て替えにあたり考慮したのは、同じ地下鉄立地の大通やススキノに生まれる、新しい商業施設との競争だった。イオンのMDを取り入れた「イオン南平岸店」で、同社の新たな挑戦が始まった。
※店内写真は許可を受けて撮影しています。


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