帯広のイトーヨーカドーが、2024年6月末で閉店する見通しだが、それより数年前、イトーヨーカ堂(本社・東京都千代田区)は、北海道で展開する店舗の分社化を図ろうとしていた。その構想は頓挫したが、この時点で同社は「アリオ札幌店」を除き、北海道から撤退することを決めたという。今回の帯広撤退は、その序章と言える。(写真は、イトーヨーカドー帯広店)
イトーヨーカ堂の北海道分社化構想は、成立直前まで進んでいた。業績低迷が続いる北海道展開を、資本業務提携しているダイイチ(本社・帯広市)と協力しながら切り離そうというものだった。当初は、食品売り場のみの切り離しで分社化の話は進んでいたが、土壇場になって衣料売り場、住居・余暇売り場も含めた分社化に切り替わった。
イトーヨーカ堂は、新会社の資本金や役員なども準備したが、ダイイチ側は衣料、住居余暇部門を合わせた分社化には協力できないという姿勢を崩さなかった。結局、分社化は幻に終わることになったが、イトーヨーカ堂はこの時点で北海道から「アリオ札幌店」を除いて撤退することを決めたという。
旭川、函館と続いた閉店でイトーヨーカドーの店舗は、帯広、北見、札幌市内4店舗の6店舗になっていたが、関係者の多くは帯広の閉店は最後の最後と見ていた。というのも、損失が最も少なく、閉店を先に進めるべき店舗があるという見立てだった。帯広の経済関係者にとって、閉店はまだ先の話で、来年6月と期限が見えたことに大きな衝撃を受けている。
ともあれ、「アリオ札幌店」を除いた他の店舗について、イトーヨーカ堂は営業譲渡も想定、北海道撤退の実現可能性を探る。札幌ススキノのラフィラ建て替えで誕生するココノススキノには、イトーヨーカドーに代わってダイイチが出店する。イトーヨーカ堂の北海道撤退は、道内流通界に何がおこってもおかしくない状況を引き寄せそうだ。