テーオーホールディングス(本社・函館市)は、2023年8月末に「テーオーデパート本店」(函館市梁川町10-25)を閉店することを決めたが、函館市民の間では、閉店後のテナント誘致に関心が高まっている。周辺には本格的なスーパーマーケットがないため、複数フロアを使うスーパーを求める声もあるという。(写真は、8月末に閉店する「テーオーデパート本店」)
「テーオーデパート本店」は、1962年に開店したデパートで、函館の中心地五稜郭梁川地区のショッピング、憩いの場として利用されてきた。ファッションから暮らしの品々まで、幅広い世代のニーズに応え、函館地区ではいち早くクレジット・ポイントサービスを取り入れた「テーオーカード」を導入、それを利用することで買い物の利便性を高め、ショッピングの楽しさを提供、地元住民に愛される店づくりを進めてきた。
しかし、少子高齢化に伴う世帯数の減少、専門店の台頭などによって売り上げが減少。コロナ禍で主力の衣料品販売が不振となり、赤字経営が続いていた。2022年5月期の売上高は8億500万円、3800万円の経常損失だった。
「テーオーデパート本店」は、デパートと冠しているものの、実際にはショッピングセンターの位置付けで、閉店に関しての市民の受け止めは、2019年1月に閉店したイオン系の「棒二森屋」ほどの衝撃はないようだ。むしろ関心は、後継テナントの動向。1階には、魚長(本社・函館市)の食品スーパー「生鮮げんき市場」が入っているが、さらに品揃えや利便性を高めたスーパーを望む声がある。市の関係者は、「テーオーデパート周辺には本格的なスーパーがないこともあって、大手スーパーは出店候補先として関心があるようだ。すでにそういう話が届いているのではないか」と話す。閉店まで残り半年、61年間の営業を惜しむ声と次の展開を期待する声が入り混じっている。