道内資本最後の百貨店、帯広の藤丸が1月31日に閉店した。前身の呉服店から122年、帯広、十勝の発展とともに歩んだ歴史に幕を閉じた。2023年冬には、藤丸の屋号と不動産を引き継ぐ新会社が新・藤丸開業を目指す。(写真は、帯広市の藤丸)

 藤丸の現建物は1982年に竣工した地下3階、地上8階建て。最大の売り上げがあったのは、1993年8月期で145億円だった。しかし、バブル崩壊と多様な商業施設が郊外に数多く生まれたことで、中心市街地の空洞化が加速。河東郡音更町の商業集積が進む一方で、藤丸の疲弊は加速していった。2022年8月期には売上高44億円まで低下、赤字も8年連続となり、抜本的な再生策が急務とされた。

 通常であれば、融資をしている金融機関が再建に主導的な立場を取るが、歴史的な経緯から地権者が多く、権利調整が進まないなど、抜本策が取れなかったことが響いた。また、藤丸が法的整理ではなく、私的整理を選択したことも事態を複雑にした。

 帯広、十勝の発展とともに歴史を刻んだ伴走者だったが、最近は経営の迷走が続き、地元の藤丸離れも見られた。会社側が従業員に閉店を正式に告知する前に、閉店情報が流れることは経営陣の脇の甘さと言っても良い。一事が万事とは言わないまでも、こうした甘さは十勝の雄だった頃の感覚が拭いきれなかったためではないか。

 新会社は、地元の自動車販売会社を運営する村松ホールディングス(HD、本社・帯広市)とそら(同・同)が設立しており、2023年冬に新・藤丸の営業を開始する予定。新しい感覚による新しい風が中心市街地に吹き、人々を呼び込む施設になることを期待したい。



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