(写真は、「スーパーアークス千代台店」と人見通側外壁に描かれた「函館浪漫散歩」)

 ーー函館エリアの市場の特徴は。

 今野 道南地区では、7月盆の新盆地域、8月盆の旧盆地域があり、地域によって盆のお墓参りの時期が異なります。また七夕には子どもたちが家々を回ってお菓子を貰うなど、地域に根付いた風習があります。当社は道南地区に本部があり、地元のことをよく分かっている社員が運営しているので、地域に密着した営業をできることが一番の強みだと思います。

 ーー少子高齢化、人口減少で地方の食品スーパー運営は厳しくなっています。

 今野 函館市は、毎年約3000人ずつ人口が減り、2021年には25万人を割りました。当社が店舗を運営している森町、八雲町、長万部町、江差町、松前町、木古内町などはさらに人口減少が深刻です。そうした地域では、熟練したパートさんが辞めてしまうと代わりになる人を見つけることが難しい。そのため、専門的な技能が必要な商品は、センターから供給できるように進めてきました。熟練した技能を持った人がいなくても、郡部の店が存続できるようにしていきます。

 地域の人口が5000人を割ると食品スーパーは成り立たないと言われていますが、地域のライフラインを守ることは当社の使命です。生鮮センターを活用することにより、地域の人口が5000人以下になっても店舗を続けていけるようになればと考えております。

 ーー競合店の状況はいかがですか。

 今野 道南地区の食品の市場規模は、約900億円と推測しております。当社の売上高は約255億円なのでシェアは約28%です。これを30%まで高めたい。私たちアークスグループは北海道を代表する企業ですから、道産品など地域の生産者のお手伝いをする取り組みを、もっとやっていきたいと思っています。

 厚沢部町のメークインや森町のかぼちゃなど、地元の良い食材をしっかりと紹介して売っていきたい。生産者さんにも、だんだんと道南ラルズを認知していただけるようになってきましたから。

 ーー業績について教えてください。

 今野 当社がスタートした2004年度の売上高は、約140億円でしたが、2021年度は約255億円となり、約1・8倍の売り上げになりました。売上高経常利益率は3%を維持しています。2022年度も増収の計画を立てており、達成に向けて邁進しているところです、また、2023年度についても引き続き売り上げの拡大を実現していきたいと考えております。

 ーー最後に、座右の銘などを教えてください。

 今野 座右の銘は、史記にある「桃李もの言わざれども、下自ら蹊を成す」(桃やすももは何も言わないが、花や実を慕って多くの人が集まり自然と道ができることの意で、徳のある人のところには自然と人が集まることの例え)です。このような人間になりたいと思っており、道南ラルズもこのような企業になれたらいいなと思っております。学生時代に十八史略を読んでいる時に見つけた言葉です。以来、40年以上、この言葉を座右の銘にしてきました。会社のスローガンは、「明るく、元気に、前向きに‼」です。2023年は道南ラルズ創業20年目になります。元気にいきますよ。

 ーー道南ラルズの元気さが伝わってくるインタビューになりました。ありがとうございました。



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