国分北海道(本社・札幌市中央区)の取引先などで組織する国分北海道会は11月16日、札幌市中央区の京王プラザホテル札幌2階エミネンスホールで「2022年国分北海道会第9回秋季例会」を開催した。国分北海道会の会員ら214人が出席した。(写真は、国分北海道会で講演する岸博幸氏)
(写真は、挨拶する国分北海道会会長の森本光俊氏)

 最初に国分北海道会会長のサッポロビール北海道本部・森本光俊上席執行役員北海道本社代表兼北海道本部長が登壇、「国分北海道は青果仲卸、食品加工のふたみ青果と業務提携したことで大きな武器を持った。今後に期待している」と挨拶した。

 続いて、特別会員の国分北海道・諏訪勝巳社長執行役員が挨拶、「10月に入ってビール、飲料を含む食品で6700品目の価格改定があったが、それに伴う改定作業が膨大になった。労務環境の変革をしないと、それに関わった社員の幸福度も向上できない事態になっている」と述べた上で、10月の売り上げが前年同月比102・5%になり、9月の仮需の反動がほとんどなかったことを示した。また、2021年1月から10月までの売り上げが前年同期比108・1%となり、2019年の同期間比で94%だったことも明らかにした。

 その後、国分北海道・島淳二物流・システム部長が、『加工食品物流の現在と未来~持続可能な物流の実現のために~』をテーマに活動報告、「入荷予約システムを札幌LCセンターで導入、トラックドライバーの長時間拘束軽減に努めている。同センターにはマザーセンターとして他の拠点への転送機能があるが、恵庭センターにも同様の機能を持たせたい。今後、メーカーと一体となった物流効率化に取り組んでいきたい」と話した。

 講演会では、慶應義塾大学・岸博幸教授が『ウイズコロナの経済動向と経営戦略~北海道経済活性化の鍵~』をテーマに約1時間講演。岸氏は、1990年から2020年までの経済のパイ拡大は、米国の3・5倍やイギリスの3・2倍、中国の54倍などと比べ日本は16%にとどまっていることに触れ、「グローバルレベルでは落第の事態がずっと続いている。デフレや人口減少、高齢化が原因ではなく、90年代のグローバル化、デジタル化に踏み込まず、昭和の延長で対応してきたことが原因」と分析。

 その上で今年は、ロシアによるウクライナ侵攻で自由主義と独裁主義の戦いが始まったこと、米国金融政策が変化したこと、コロナの終わりの始まりが見え始めたことーーの3つの大きな変化が出てきたことを示し、「30年間の失敗の教訓を生かして、民間企業はデジタル化を進め、イノベーションをつくり出し、ビジネスモデルを進化させることによって成長を目指すべきだ」と訴えた。「北海道は農林水産業が強く食品産業は宝の山。メーカー、流通、小売りがイノベーションを起こさないと価格高騰の波に勝つことができない」と結論付けた。 


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