食品スーパーのダイイチ(本社・帯広市)は、不適切会計処理で引責辞任した取締役3人の後任取締役候補者を決定した。コンプライアンスを強化する取締役の布陣とみられ、現場では執行役員が権限を持って売り場づくりを進めていくとみられる。(写真は、ダイイチ本社)

 8月31日付で引責辞任したのは、中本泰廣専務取締役営業本部長(66)と野口一常務取締役販売本部長(57)、川瀬豊秋非常勤取締役(66)の3人。中本専務と野口常務は、食品スーパーの最前線を指揮する2トップだっただけに、誰が後任取締役に就任するのかに業界の関心が集まっていた。

 同社は11月15日に新任取締役候補を発表。それによると、執行役員販売本部帯広ブロック長の北村攻(きたむら・おさむ)氏(49)、執行役員開発企画部部長の忠石信之(ただいし・のぶゆき)氏(58)、執行役員営業本部部長の西崎進(にしさぎ・すすむ)氏(59)の3人が候補で、社外取締役候補は廣岡・祖母井法律事務所の祖母井里重子(うばがい・りえこ)氏(62)。

 北村氏は、1973年6月生まれ、1994年4月日本日鐵入社、1999年7月ダイイチ入社、2018年10月販売本部札幌ブロック長、2022年4月執行役員販売本部札幌ブロック長を経て2022年9月から現任。忠石氏は、1964年10月生まれ、1983年4月帯広スバル自動車入社、1991年1月ダイイチ入社、2021年4月開発企画部部長を経て、2022年10月から現任。

 西崎氏は、1963年10月生まれ、1986年4月北海道拓殖銀行入社、2011年6月北洋銀行白石本郷支店長、2015年4月同行リテール戦略部長、2017年4月同行法務コンプライアンス部長、2021年6月ノースパシフィック取締役、2022年11月ダイイチに入社して現任。

 祖母井氏は、1960年4月生まれ、1996年4月弁護士登録、2015年6月北洋銀行社外取締役、2016年札幌市人事委員会委員(現任)、2016年11月北海道防衛施設地方審議会委員(現任)、2017年1月北海道地方薬事審議会委員(現任)、2022年6月ロジネットジャパン社外取締役(現任)、2022年6月札幌テレピ放送社外監査役(現任)。

 ダイイチは、店舗現場の販売力で成長してきたスーパー。新任取締役3人の中で現場出身者は1人で、取締役の顔ぶれはコンプライアンスに力点を置いた体制となりそう。現場の責任者となる執行役員人事に、業界関係者は注目している。

 新任監査役候補は、長尾悦治氏(64)。1958年1月生まれ、日本火災海上保険入社、1982年6月ダイイチ入社、2012年経理部部長、2016年5月から経理部現任。いずれの候補者も12月23日開催の株主総会の決議を経て正式決定する。なお、資本業務提携先のイトーヨーカ堂から取締役(社外)入りしている宮川明氏(67、イトーヨーカ堂監査役)は動かない見通し。


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