低価格競争とコンビニエンスストア、ドラッグストアなどのスーパー化によって攻め込まれている食品スーパー業界だが、2014年4月の消費税8%を控え今年は道内でも食品スーパーのM&A(企業の買収・合併)が一段と加速する可能性が高い。焦点の一つになっているのが、スーパーチェーンシガ(本社・余市町)。余市、小樽、倶知安など後志管内が空白地域になっているアークス(本社・札幌市)グループ入りは果たしてあるのか。(写真は、余市町富沢町のスーパーチェーンシガ西部店)

 スーパーチェーンシガは、余市町に本社を置き、同町に4店舗、小樽市に5店舗、札幌市3店舗、石狩市1店舗の計13店舗の食品スーパーを営業している。帝国データバンクのよると、2010年度の売上高は105億800万円、11年度は100億8000万円。11年度に札幌市内1店舗を閉店しており約5億円の売上げ減少に繋がった。

 同社は、商品の共同仕入れ会社CGCグループに賛助会員として加盟していたが、6年ほど前に同グループから離脱している。
 食品スーパー業界は、CGCグループのような団体を通じた商品情報や販売情報が「ヒト・モノ・カネ」に続くソフト資源として重要とされる。全国的な団体としては、AJS(オール日本スーパーマーケット協会)やセルコグループ、全日本食品グループなどがあるが、同社はそのいずれにも属していない。

 同社の志賀治夫社長は、早大政経大学院卒で独自のチェーンストア理論を持っているとされ、チラシを一切配布しない店舗展開でも知られる。

 食品スーパー業界は、低価格競争と異業種からの攻め込みで既存店の前年割れは避けられず、とりわけ「地方」、「中堅」、「オーナー経営」の3つのキーワードが揃った食品スーパーはより厳しい環境に置かれているという。

 こうした客観情勢から業界内では、スーパーチェーンシガの動向に注目が集まっており、噂の先にあるのがアークスグループ入り。
アークスは、傘下のラルズ(本社・札幌市)が小樽市桂岡店を展開しているだけで小樽中心部や後志地方は空白区。CGCグループだったシガの商圏に参入しない了解があったためと見られるが、シガのCGC脱退でフリーゾーンになっており、ラルズにとっても空白区進出は道内シェアを盤石にするためにも必要な選択。

 業界では、「海千山千の志賀社長と腹を割って話せるのはアークスの横山清社長しかいない」という声がある一方で、「横山社長は都市部のドミナント(集中)出店に比重を移しており、地方出店には消極的」という声もあって噂は噂で終わる確率も高い。

 道内では一昨年に篠原商店(本社・網走市)がアークスグループに入り、昨年は共同仕入れ会社のエイチジーシー(HGC)が全日食に吸収合併されている。今年は、今まで以上にこうしたM&A圧力が高まる市場環境が予測されており、「何が起こっても不思議ではない」(業界事情通)というカオス・イヤー(混沌の年)になりそうだ。



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