札幌・南1条通に未来都市を思わせるような建物が姿を現わした。直線的なイメージが多いビルの中で、この建物は柔らかさと力強さが共存、異彩を放っている。土に根ざした植物が成長するパワーを象徴したような外観は、見る人を建物内に導くような吸引力を秘めている。(写真は、外観が現れた新IKEUCHI GATEビル)

 この建物は、丸ヨ池内が建設している新「IKEUCHI GATEビル」(南1条西2丁目18番地)。築67年だった旧「IKEUCHI GATEビル」を解体、2021年6月から新ビル建設を開始、長く工事用シートに覆われていたが、このほどシートが外されて外観が姿を現わした。建物の外壁に曲線を描きながら伸びる柱は、成長する植物をイメージさせる。設計したのは、日本を代表する世界的建築家、伊東豊雄建築設計事務所(東京都渋谷区)代表の伊東豊雄氏(81)。伊東氏は、2013年に建築界のノーベル賞と称されるプリツカー建築賞を受賞するなど受賞歴多数。公共施設「せんだいメディアテーク」(仙台市青葉区)、イタリアブランド「TOD‘s」(トッズ)の「TOD‘s表参道ビル」(東京都渋谷区)など代表建物は数多い。その伊東氏が、北海道で初の商業施設プロジェクトとして取り組んだのが、このIKEUCHI GATEビル。

 ビルは、地下1階、地上8階建て、敷地面積約405坪(1338・63㎡)、延べ床面積約2817坪(9297・30㎡)。地下1階から3階までがファッションを中心とした物販15店舗、4階の一部と5階、6階は飲食10店舗が入る。4階にはフィンランドのデモーラ・グローバル社との連携によるフィンランド型インキュベーション機能を備えたコワーキングスペースを設け、7階は丸ヨ池内の事務所、8階は倉庫の予定。

 建物には、サンゴバン社(フランス)が開発した遮熱、断熱性の高い三層ガラスをサンゴバン、不二サッシ、丸ヨ池内グループが共同で高断熱アルミサッシ化し、さらに外断熱工法を採用。北海道大学の菊田弘輝准教授の指導による空調設備設計で、厳冬期でも適用できる高気密、高断熱を実現する。新IKEUCHI GATEビルのコンセプトは、「BE A PIONEER」(パイオニアになろう)と「DESIGN IT YOURSELF」(自らの想いを描こう)。建物のファサード(正面から見た外観)は、まさにこのコンセプトを宿している。オープン予定日は2022年11月30日だが、丸ヨ池内は10月中の開店を目指すとしている。


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