ダイイチ、不適切会計処理で前社長の関与も調査

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 ダイイチ(本社・帯広市)は5月16日、2021年9月期の不適切会計処理の発覚に伴う2022年9月期第2四半期(2021年10月~2022年3月)決算発表について、提出期限を5月16日から6月30日に延長すると発表した。(写真は、ダイイチ本社)

 上場企業は、決算期日から45日以内に決算の開示が義務付けられている。ダイイチの2022年9月期の第2四半期(上半期)は2022年3月31日に終えており、開示期限は45日後の5月16日だった。しかし、前期(2021年9月期)の不適切会計処理が社外の指摘で発覚、5月6日に予定していた第2四半期決算発表が困難となり、北海道財務局と調整。このほど同局から6月30日まで提出期限を延長する承認を受けた。

 不適切会計処理は、2021年9月期に予算達成が見えてきたことから、仕入れを先行してその期の利益を圧縮、納期を翌期にずらして翌期の利益を確保したという内容。ダイイチは、宇澤亜弓氏を委員長とする第三者委員会で事実確認と原因究明を調査中だが、現時点で確認されている不適切会計処理の金額は約8200万円という。

 ダイイチは、こうした手法の不適切会計処理が2017年9月期から2020年9月期まで、鈴木達雄前社長の在任中も行われていたことが判明しているとして、鈴木氏の関与と具体的内容について調査を進めている。業界関係者によると、「社外からの指摘とは国税局による指摘のことではないか。国税局とダイイチとの見解の相違ということで修正申告、追徴課税、決算の修正報告で収まる問題ではないか」と言う。一方、別の業界関係者は「仕入れを先行計上し、決算期をまたいで納期をずらして決算を操作することは聞いたことがない」と話す。今回のダイイチの不適切処理は、ないものをあったように見せかける粉飾決算ではない。悪質性は薄いものの上場企業としてのコンプライアンス、コーポレートガバナンスは第三者委員会でも厳しく問われそうだ。

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