全日食によるHGC買収額は12億円、直営化する食品スーパー「スーパーエース」は今後北雄ラッキーに譲渡か?

流通

 道内の中小小売店の共同仕入れ会社HGCが全国の中小小売店向け共同仕入れ会社、全日本食品(東京)に買収されることになったが、買収額は約12億円程度であることがわかった。当初は、9億円程度での取得が想定されていたがHGCの負債も引き受けることになり買収額が上積みされた模様。全日食はHGCの直営店「スーパーエース」4店も取得、当面営業を続けるが道内食品スーパーへ売却する模様。売却先には北雄ラッキーが浮上している。(写真は、全日食が直営化する『スーパーエース』の美香保店)
 
 HGCは、1979年に設立された道内共同仕入れ会社の草分け。最盛期には中小小売店190店舗が加入するなど、「ミニスーパー」の仕入れと物流を担う役割を果たしてきた。
 
 しかし、食品スーパーの台頭とともに全国的な共同仕入れ会社が発足、道内でもシジシージャパンのグループ会社として北海道シジシーが80年に設立され、「ミニスーパー」から「食品スーパー」への流れが加速して行った。スーパーの進出を抑える大規模小売店舗法が2000年に廃止され、出店が事実上自由になったことによって「ミニスーパー」は一段と苦境に陥る。
 
 北海道シジシーが、加入している食品スーパーの相次ぐ出店で商品供給が増えていく一方で、HGCの加盟店であるミニスーパーは家業的色彩が強く規模拡大に踏み込むことができず次第に縮小、今年7月の加盟店は29社38店舗と最盛期の2割にシュリンクしていた。
 
 全日食は、全国の中小小売店向けに商品供給する共同仕入れ会社でHGCとは競合関係にあったが、事業継続が難しいと判断したHGCは全日食に事業継承を持ちかけ、全日食もこれを受け入れた。
 
 当初の買収額は9億円とされたが、その後上積みされて12億円になった模様。
 
 全日食に加盟するHGC加盟店は15社18店舗で残りの14社21店舗は第三の道を選ぶことになる。事業継承は10月1日でHGCの本部機構は9月30日に業務を終了して清算手続きに入る。
 
 全日食は、HGCがりょーゆー(滝川市)の子会社松下(札幌市)から継承した食品スーパー「スーパーエース」4店舗を直営化して運営することになったが、全日食はこうした店舗運営のノウハウがないことなどから売却先を探す見込みで、北雄ラッキーなどが候補に上がっている。
 
 北雄ラッキーは、HGCに加盟していたこともあるが、現在は北海道シジシーに加入。ただ、06年にはHGCの低温物流倉庫(札幌市中央区)を取得するなど友好関係を継続しており、「スーパーエース」数店舗を取得する可能性は高い。

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