DCMが島忠を友好的TOB、ホームセンター成長の鍵はPB

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 ホームセンター大手のDCMホールディングス(以下DCMHD、本社・東京都品川区)は2日、同業の島忠(同・埼玉県さいたま市中央区)と経営統合で合意、島忠を株式公開買い付け(TOB)で完全子会社化すると発表した。ホームセンター業界では久々の大型再編で、DCMグループは売上高5900億円になり、現在業界1位で売上高4400億円のカインズ(同・埼玉県本庄市)を抜いて業界トップになる。(写真は、札幌市東区の「DCMホーマック光星店」)

 DCMHDは、2002年5月にカーマ(本社・愛知県刈谷市)とダイキ(同・愛媛県松山市)が三井物産の仲介で業務提携したことに始まる。03年5月にホーマック(同・札幌市厚別区)が入り、3社間での資本業務提携に進んだ。その上で、06年9月、3社で持ち株会社「DCM Japanホールディングス」を設立、10年6月に商号を変更して「DCMホールディングス」になった。

 DCMとは、元々はダイキ、カーマ、ホーマックの英語表記の頭文字を取ったものだが、「Demand Chain Management=お客さま視点からの流通改革」、「Do Create Mystyle=くらしの夢をカタチに」と「DCM」を新たに定義、事業範囲の拡大と事業基盤の拡充を図ってきた。21年3月1日付で持ち株会社方式を解消、グループ5社が合併してDCMを設立、経営判断の迅速対応を行えるようにする。

 一方、島忠は、ホームセンター業界がDCMHD、カインズ、コメリ(本社・新潟市南区)など大手の寡占化が進んでいることから単独ではコスト削減効果が得られないこと、収益改善に有効なPB(プライベートブランド)商品の拡大にも限界があることなどから、DCMHDとの経営統合を選択した。

 TOBの買い付け期間は10月5日から11月16日までで、島忠株の買い付け価格は1株あたり4200円。買い付け予定数の下限は発行済み株式の50%、完全子会社化が難しくても子会社化を進める。

 経営統合によって、PB商品の相互供給を実施、売上高と利益率の向上を図り、家具やホームファッションに強い島忠のノウハウを活用してPB商品の開発力を高める。さらにスケールメリットを生かして共同仕入れによる調達コスト低減を進める。

 DCMHDの中核を占めるDCMホーマックは、創業の地である北海道で159店舗を展開、業界ガリバーの地位を保っている。しかし、コメリの本格進出やLIXILビバ(本社・埼玉県さいたま市浦和区)の買収を決めたアークランドサカモト(同・新潟県三条市)と提携関係にあるジョイフルエーケー(同・札幌市東区)の動向など不安定要因も出てきた。今回、島忠TOBでDCMHDは経営基盤を強化、乱戦模様の北海道での地位をより盤石にする。

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