ツルハホールディングス(HD、本社・札幌市東区)の創業者の孫にあたる鶴羽順氏が、健康上の理由で退任した堀川政司前社長の後任として2020年6月2日付で新社長に就任した。執行役員、取締役専務執行役員、代表取締役専務執行役員と昇進を重ね、46歳の若さでツルハHDの舵取りを託された。ドラッグストア業界は、コロナ禍の中で業績は好調だが、業界再編の荒波が押し寄せ、業界2位のツルハHDも次の一手が求められている。鶴羽順新社長に、ウィズコロナ時代の戦略や北海道の出店戦略などについて聞いた。
《つるは・じゅん…1974年5月生まれ、46歳。1998年4月ツルハ入社、2011年5月ツルハHD執行役員・ツルハ取締役執行役員北海道店舗運営本部長、14年8月同社取締役専務執行役員、ツルハ代表取締役社長執行役員、18年8月同社代表取締役専務執行役員、20年6月同社代表取締役執行役員》
ーー6月に社長に就任されましたが、あらためて抱負を聞かせてください。
鶴羽 就任以来、日に日に責任の重さを痛感しています。私たちグループには、地域で戦える強い事業会社がありますし、それぞれの企業には経験豊富な経営者もいますから、力を合わせて企業を成長させています。前社長時代、私は専務の立場で社長を補佐してきましたので経営方針は前社長時代と大きく変わりません。ただ、コロナ下にあることやITの進化のスピードも速いので、グループの決断力を早めるとともに新しい挑戦を積極的に進めていこうと考えています。
ーーコロナの業績への影響はどうですか。
鶴羽 巣ごもり需要による食品の伸びとマスク、消毒関連の衛生用品などが好調で、業績的にはプラスになっています。私たちの店舗は郊外型が多いので、家の近くで買い物を済まそうというお客さまのニーズに合致したと思います。インバウンドの売り上げは、全体の2・5%程度でそれほど大きなウエートを占めていませんが、まるまる蒸発したので全く影響がないわけではありません。また、在宅勤務やテレワークの増加で、化粧品の落ち込みもありますし医薬品、調剤も減少していますから、これからが本当の正念場だと感じています。
ーーインバウンド店舗の閉店も進めてきましたね。
鶴羽 5月中旬に6店舗を閉めましたが、その判断は3~4月頃の状況によるものでした。あの頃は年末になったらコロナは落ち着くのではないかというムードでしたが、現状ではまだまだ続きそうです。第2段階として(閉店を)考えなければならない店舗も出てくるでしょう。
ーーコロナ禍の対応策は。
鶴羽 4月、5月は商品供給もままならない状況で、マスクや消毒液が不足してお客さまにご迷惑をおかけしました。そうした状況は、少し落ち着いてきたので、これからは来店されるお客さまにどんなことができるのか、接客も含めて考えていきたい。商品の品揃えに関しては、コロナ予防の衛生用品などの売り場を広げたり、まとめ買い需要に対応したり、巣ごもりの商品を増やしたりして対応しています。化粧品が売れない中でもマスクをして肌荒れに困っているお客さまもおられるので、そうしたお客さまへのアドバイスやアイメイクの方法、免疫力をアップさせる方法など店頭スタッフがコンサルティング対応して、ドラッグストアならではの強みを生かしていきたいですね。