コープさっぽろの惣菜が「安くておいしい」などと評判だ。札幌市内6店舗で2月から取り組み始めた“大惣菜化プロジェクト”の成果が表れているためだ。6店舗の惣菜部門の売り上げは、前年同月より2割以上の伸びを示し、店舗全体の売り上げを牽引している。
(写真は、「二十四軒店」の「魚屋の惣菜」コーナー=上と「肉屋の惣菜」コーナー)

 食品スーパーの仕入れは、伝統的に農産、水産、畜産、惣菜の各本部が独立して行っている。同じ組織でありながら惣菜には他部門の生鮮材料を使っていないのが現状。今回の“大惣菜化プロジェクト”は、惣菜部門が他部門で仕入れた生鮮材料を使うとともに農産、水産、畜産の各部門とも川下展開として惣菜を製造するのがポイント。

 惣菜の大半は店舗のバックヤードでインストア生産しているが、その材料は工場で下加工したものなどが使用されている。“大惣菜化プロジェクト”では、農産、水産、畜産の各部門が仕入れた店舗にある新鮮材料を使用するため、鮮度が格段に向上する。
 
 店舗バックヤードの農産、水産、畜産の各作業場にスチームコンベクションオーブンやグリドルなどを新たに導入。水産は「焼魚」や「煮魚」、畜産は「鶏レバー」や「ステーキ」、農産は「カットフルーツ」や「カット野菜」などを製造し、各部門の売り場で「八百屋の野菜」、「魚屋の惣菜」、「肉屋の惣菜」といったPOP広告展開をして買い物客に訴求している。

 同プロジェクトは、2月13日の「にしの店」(札幌市西区)を皮切りに「ほんどおり店」(同市白石区)、「ソシア店」(同市南区)、「なかのしま店」(同市豊平区)、「二十四軒店」(同市西区)、「ルーシー店」(同市白石区)の6店舗に導入。これら店舗では惣菜商品が約200品目あるがそのうち約80品目が農産、水産、畜産の各部門が製造する惣菜商品で、残りの約120品目は各部門が仕入れた生鮮材料を使って従来の惣菜部門が製造している。

 惣菜部門が材料を他のメーカーなどから直接仕入れていた方式から、農産や水産などが仕入れた材料を使うことによって低価格で販売できるようになり、商品は200円がプライスラインになった。

 このプロジェクトは、惣菜の鮮度やおいしさの追求のほか、単身世帯の増加に伴う簡便・即食ニーズに沿った売り場展開を図る要の役割も持っている。コープさっぽろ商品本部デリカ部部長で大惣菜化プロジェクトリーダーの鈴木裕子氏は、「鮮度、おいしさ、低価格を追求した出来たての惣菜なので食べてみると違いが分かります。生活環境の変化で料理する時間がない人たちや単身世帯に向けて販売を増やしたい」と話している。
 大型連休明けには札幌以外にも展開、今年度中に道内30店舗までこうした“大惣菜化プロジェクト”を導入する。

 



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