食品スーパー各社が、特売セールなどで店頭表示している値下げ幅の見直しに一斉に着手した。コープさっぽろが「値下げ幅を過大表示した」と道から行政指導を受けたことを受け、食品スーパー各社がこれまでの慣例とも言えるチラシや店頭での値下げ表示を見直し始めたもので、価格表示に対するコンプライアンス(法令順守)強化が道内スーパー各社の流れになってきた。
コープさっぽろが店頭での値下げ幅を過大表示した景品表示法違反で行政指導を受けたのは、今月の5日だった。コープさっぽろは、毎週水曜日のパンの割引販売や冷凍食品の割引販売などで通常価格と割引価格を併記していたが、日常的に通常価格よりも低い価格で販売していたため、割引価格との差が過大に表示されていたというもの。
景品表示法では、二重価格表示で商品やサービス提供を有利に見せる表示をする場合に細かく規定している。大きくは、過去8週間のうちに4週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示できるが、そうした実績を満たさない場合や架空のメーカー小売希望価格や根拠のない市価を利用して販売価格を安く見せかけることは二重価格表示として罰則対象になる。
また、販売を始めてから8週間未満の場合は販売期間の過半か2週間以上の販売実績があれば過去の販売価格として表示することができる。
特売セールなどでは、通常価格の○割引として通常価格と割引価格の表示で安さを強調しているケースが多いが、その場合の通常価格は過去8週間のうち4週間以上の販売実績がある価格を通常価格として表示しなければならない。また、8週間未満の場合は、過半か2週間以上の販売実績がある価格が通常価格となる。
つまり、メーカー希望小売価格より日常的に安い価格で販売していた場合はそれが通常価格になるため、割引率は小さくなるというわけ。
食品スーパーでは、「コープさっぽろの件があってから店頭表示を見直すことにした」というところがある一方で、「当社は景品表示法よりもさらに厳しい自主ルールで店頭での割引表示をしている」とコンプライアンスを徹底しているスーパーもある。
しかし、食品スーパー各社が悩んでいるのが冷凍食品の割引表示。冷凍食品の多くはオープン価格でメーカー希望小売価格がない。冷凍食品の半額表示は全国的な販売手法として広がっており、割引表示が景品表示法に抵触するのかどうか、業界内でも見方は分かれているようだ。