「2011年、北海道の流通界は旭川の再編から始まる」――道内で一番競争が激しいと言われる旭川で今年、店舗統廃合を含めたM&Aの嵐が本格化しそうだ。旭川を舞台にした流通局地戦が、道内全体のパワーバランスを占うシグナルになることは間違いない。


 旭川は道内流通界の実力者たちが入り乱れる戦乱の地だ。トライアルやドンキホーテなど道外勢も領地拡大を図り、道内のどの地域より“常在戦場”のウエートが高い。
 店舗数は戦力の一端を示すものだが、ざっとこんな具合だ。
 ふじ17店舗(ウエスタン3、ベストプライス6、ふじ8)
 道北ラルズ5店舗(ビッグハウス3、ラルズマート2)
 コープさっぽろ10店舗
 ダイイチ7店舗
 マックスバリュ北海道2店舗
 イオン北海道3店舗(ジャスコ1、ポスフール2)
 道内3強と言われるグループ別にすると、アークス22店舗、コープさっぽろ10店舗、イオングループ5店舗という配置になっている。
 昨年、旭友ストアーが廃業したことで道内一の激戦地、旭川の戦乱も終局に向かうのかと思われたが、旭友ストアーの廃業がむしろ戦乱の不安定さを高めることになっている。
 コープさっぽろは、旭友ストアーから市内4店舗を譲り受け、旭川でのシェア拡大に踏み切ったが、引き継いだ4店舗の業績が当初の予定よりも下回っているという。
 昨年夏以降、コープさっぽろは、「旭友テコ入れ」のために店舗戦略を見直すなど個店ごとのマーケティングを強化しているが、今年に入ってこんな未確認情報が流れ始めた。
 語るのは旭川の流通関係者。「コープさっぽろが旭友(旭川電気軌道)から借りている4店舗のうち2店舗をダイイチが借りる計画があるようだ。コーさっぽろは、旭友の店舗を十分に活かしきれていないようなので、この話は満更デマとはいえないようだ」
 コープさっぽろとダイイチは、友好関係にある。コープさっぽろが、室蘭の志賀綜合食料品店の店舗引継ぎや函館の魚長との協力関係を構築したように、ジワジワとダイイチとの距離を縮めている。
 店舗の譲受という部分的な協力関係が両者の間で発生したとしても不思議ではない。
 また、引き継がれずに閉店した旭友ストアーの店舗に居抜き出店するところも出てきた。ふじは、ベストプライスの業態で旭友店舗への出店を検討とされオープンは夏ころになるという。
 2011年、旭川を舞台にした流通業界の戦いは、道内全体の勢力図に波及するドミノ効果を生む可能性を持っているようだ。


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