ーー上り便と下り便の均衡は取れていますか。
布施 やはり道内から関東に送る上り便の方が圧倒的に多くて、下り便との差が開く一方です。現在は、上り便が月2億円弱で下り便は約3000万円。もう少し均衡を取れるようにしたい。
もう一つ、幹線物流を冬場に生かしたいと思っています。加工食品に限らず生鮮三品も北海道では冬場に困っているという話も聞いているので、トライできればと考えています。
ーー本州で調達した生鮮三品などを幹線物流で北海道に持ってくるということですか。
布施 例えば冬場になると北海道はレタスが高くなります。でも九州では地元のレタスが安価に提供されている。九州の安価なレタスを北海道に持ってくることができないかということです。関西までは、グループのアクセスの便で持ってきて、関西からの幹線物流で北海道に持ってくれば数日で運べます。価格の交渉はお客さま同士にやってもらい、当社が幹線物流をうまく活用して北海道に商品を運んでくる。日本全国の生鮮三品などをうまく持ってくることができないか考えていきたい。
ーー日本アクセスグループが張り巡らせている全国の物流インフラでお客さまのニーズを繋いていくということですね。
布施 本州や九州の生鮮三品について鮮度を保ったまま運んでくることを可能にするのが、当社のチルドの幹線物流です。お客さまの仕入れ力などとセットでうまく組み立てられるようになれば可能だと思います。
ーー人口減少が本州より早く進んでいる北海道では、流通再編がまだ完成形ではないと思います。布施社長は、北海道の食品スーパーや食品卸の将来像をどう見ていますか。
布施 AI(人工知能)が発達してきたら極端なことを言えば、卸はなくても良いかもしれない。しかし、私はその時の卸は、姿を変えたものになっていると思います。リアルにもネットにもECビジネスにも対応できるような卸に変化していかなければ存在意義がなくなります。
では、それができる卸はどこか。私たち日本アクセスグループは、伊藤忠商事グループの一角を担っていますが、伊藤忠商事グループの戦略は、既存事業に積極投資をするより次世代ビジネスに積極的に投資をしようというスタンスです。食料部門の中間流通を担当している日本アクセスとしても、もちろん伊藤忠に足並みを揃えて次世代ビジネスを商流面と物流面から考えています。BtoBもBtoCも、BtoCtoCも全部対応できるようなことができないのかということを研究しています。まさしく北海道はこの分野では最先端をいくような地域になるのではないでしょうか。
人口減少下で、リアルの店舗だけではなくコープさっぽろ様の宅配トドックシステムのような事業ももちろんですし、本当のECビジネスの展開に対応できるかどうかも一つの大きな生き残りの鍵なのかもしれないと思っています。北海道でリアル店舗が地域で損益分岐点を越えられないとなった時、ネットとリアルがうまく融合していかざるを得ないような環境になるのかもしれません。そのことをどう考えて向き合っていくかで将来的な差がついてくると思います。
ーー本日はありがとうございました。
※2018年10月26日記事一部修正いたしました。