ーーところで、今年度から2020年度までの中期計画が始まっています。その骨子を聞かせください。
布施 ビジョンは、『地域経済の発展に貢献できる北海道No.1食品卸企業』で、『成長戦略』、『競争優位戦略』、『次世代ビジネス戦略』、『収益構造改革』、『人財・風土改革』の5つを掲げています。日本アクセスグループは、以前から成長戦略と競争優位戦略をきっちり成し遂げていこうと第6次中期経営計画の時から実行してきました。第7次の骨格はフルライン卸に向けてどんどん進んでいこうということです。
チルドとフローズンは、北海道では売り上げ的にもダントツの域に来ていますので、ドライ、グロッサリーのウエートを高めることを掲げています。
ーー成長戦略としてグロッサリーとドライ系を拡大していくということですね。数値目標としてはどのくらいを見込んでいますか。
布施 金額的な数値目標は出していませんが、全体的には17年度の売上高852億円を20年度に1000億円に引き上げ、ドライで約200億円、チルドで約500億円、フローズンは約300億円というイメージです。当社は業務用の冷凍食品など業務用筋のウエートも高い。スーパーの惣菜部門や菓子をはじめとする食品製造メーカー様や外食産業で内製化している工場への原材料供給も行っています。特に業務用のデリカ部門をもっと強化していくことで他の卸との差別化が図れるようにしたい。
次世代ビジネス戦略は、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの対応を親会社の日本アクセスと連動して進めていきます。収益構造改革については基幹システムの更新による収益管理の強化、ロジスティクス機能の効率化と最適化を進めます。人財・風土改革では、人事制度の変更などを実行していく取り組みを進めます。
ーー多様化する市場へのアプローチとしては、『北海道くらし百貨店』と『コーチャンフォー』への商品供給が挙げられますね。
布施 それらは食の新チャンネルに位置付けられます。色々と分析してみると、例えば『コーチャンフォー』ではプレゼント需要が結構あるようで、これまでは文房具などステーショナリーをセットにしてラッピングしていたようですが、食品を置いたところ、一緒にラッピングしてほしいという需要がとても多いことがわかったそうです。そういう新チャンネルの対応も積極的にやりたいと思っています。
ーー2016年11月から始まった首都圏と北海道を24時間で結ぶ幹線物流は、現在の1日1便の便数を増やしていくことと関西と北海道を結ぶ幹線物流の構築も進めていますね。
布施 関西と北海道の幹線物流について目下、西日本のアクセスグループと具体化に向けた打ち合わせをしています。関西では北海道の商品を非常に欲しがっている。具体的な商品群としては、牛乳、乳製品のニーズが高いですね。
ーー今回の震災の影響で関西でも牛乳、乳製品が少なくなったと聞きました。
布施 もともと関西地区は酪農家が少ない土地柄です。地元での生乳の流通があまりない地域なので、おそらく今後生乳生産が減少してきた時に、一番困るのが関西だと思います。関西の小売業の方々は、将来を見越して安定的な供給をどうすべきかと考えている人が多くなってきました。そんなこともあって、関西と北海道の幹線物流も具体的になってきたわけです。遅くても今年度内には幹線物流を構築したいのですが、震災でちょっとスピードが鈍くなっています。
ーー関東と北海道の幹線物流ではどんな商品が動いていますか。
布施 関東のメーカー品では相模屋食品やチチヤス、さとの雪食品の商品のほか中部と関東でしか販売していないNBメーカーの商品も、幹線物流の下り便に乗せて北海道での専有販売権を得ている商品もあります。AGFやUCCなどのチルド飲料ですね。