日本アクセス(本社・東京都品川区)の100%子会社、日本アクセス北海道(本社・札幌市東区)は、北海道の地場食品卸として道民の食生活を支えるインフラ事業を展開している。得意分野のチルド・フローズン・デリカの各分野をさらに伸ばすとともに、ドライ分野でもシェア伸長を進める中期経営計画を実行中だ。同社の布施和博社長(55)に、今回の北海道胆振東部地震で見えてきた課題と中期経営計画の骨子を聞いた。【ふせ・かずひろ】1963年10月札幌生まれ。87年4月西野商事入社、2006年4月ファミリーコーポレーション執行役員物流統括本部長代行、07年6月同社取締役物流統括本部長代行、11年3月日本アクセス取締役広域リテール物流本部長。その後、同社執行役員広域ロジスティクス事業本部長、東日本営業部門長代行ロジスティクス統括を経て、17年5月日本アクセス北海道社長就任。
ーー北海道胆振東部地震を通して見えてきた課題は何でしょうか。
布施 地震とその後の停電によって当社の強みと弱みがわかりました。強みは、物流力が非常に強かったこと。震災後、一般的には車両が足りない、車両が集められないことが多かったようですが、当社は緊急対応の車両を含めて震災後3週間は、通常より2倍から3倍も車両を増やして配送することができた。道内の物流もそうですし、北海道から本州、本州から北海道に運ぶ車両もほぼ100%手当てできました。これは大きな強みでした。
作業人員も通常より1・5倍から2倍に増やすことができました。毎日50人以上多く必要だった時期が何週間か続きましたが、問題なく集めることができました。そういった対応はうまくできたと思います。
ーー車両や人手を集めることができた理由は何だったのでしょうか。
布施 一つは日本アクセスのグループ力が生きたということです。人に関しては本州からの応援がすぐ来ましたから。もう一つは、当社が組織している物流会社の会に助けられたということ。約50社で組織されている会ですが、長いお付き合いがあって幅広く道内に拠点を持っている物流会社が多いので、車両の手配で大いに協力をいただくことができました。
ーー車両台数は、どのくらい増えたのですか。
布施 関東と北海道を結んでいる当社の幹線物流は、通常は関東から札幌に来る便が1日1台ですが、今回は多い日には5台も6台も来ました。品薄だったヨーグルト関係の商品や納豆、豆腐を運んできたり、特定のお客さまのPBを運んできたりするなど、複数の車両を同時に運行することができました。ある会社は、PBを緊急に欲しいということで通常使っている運送会社以外に頼もうとしたところ、高い運賃を要求されたため当社が依頼を受けたケースもありました。通常ペースで車両を手配できたので、通常運賃で運べたからです。そういう意味では、いつもは運んでいない納豆や豆腐、佃煮、飲料の各メーカーからの輸送依頼にも対応しました。
ーー震災後に急増した需要に緊急対応ができたということですね。
布施 そうした対応はできましたが、お客さまのご要望には十分に応えられずお叱り、ご指導を受けたこともたくさんありました。