「2回の米国視察を通じてアマゾンの3業態は試験的な領域を出ていないと感じた。テクノロジーは進化していくので今後を見なければいけないが、事業としては現在、成功していない。その中で、アマゾンの最先端拠点であるシアトルにおいてコープ陣営が大接戦していることがわかった。共通しているのは、楽しいエンターテインメント性、売り場を見たら興奮するようなエキサイティング性、店に教育的機能があるエデュケーション性ーーこの3つを実践していることが大きいと感じた」

「買い物が、驚くような体験、びっくりするような体験であれば、写真を撮って自分で宣伝したくなるものだ。これは、リアルな店舗自身がメディアになる可能性があるということ。コープさっぽろでは5月末から店内撮影をOKにした。今の時代は、外からの広告ではなくて組合員さんが感動して、組合員さん同士でSNSで発信してもらう方法がある。そういう宣伝の方向がこれから求められていくのではないか」

「アマゾンフレッシュは、私の見る限り現段階ではうまくいっていない。在庫型のアマゾンフレッシュは鮮度管理が難しいと思う。ECサイトによる買い物時間の節約については、ただ単純に店内の買い物をまとめるだけでは広がらない。結論を言うと、アマゾンは非食品を除けば当生協の店舗事業、宅配トドック事業の脅威にならない。ただし、イノベーションの進化があるので、今後も様子を見ていきたい」

「現地、現物、現実という三現主義はトヨタ生産方式だ。直ちに現場に行き、直ちに現場を見て、直ちに現場を把握し、そのうえで問題をどう解決するかを進めていくことが大切ということだ。アマゾンの紹介をしたが、実際に現地に行き、見て、把握した限りにおいて様々なエコノミスト、アナリストはアマゾンの実態をきちんと報道していないと感じた」

「我々は、北海道で事業をしているのでグローバルに起こっている最先端なことが波及するまでに時間的な差異が生じる。我々は何を準備すべきか、しっかり検討していきたい。結論は我々の強みを磨くこと。店舗では人のできること、その可能性をとことん引き上げる。店舗の営業の在り方、プレゼンテーション能力のアップなどが求められてくるだろう。宅配トドック事業はAIによる進化を取り込んで機動的に生産性を上げていく。強みをより進化させる努力をしていく考えだ」(終わり)

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