コープさっぽろ(本部・札幌市西区)の取引先など約920社・団体で組織する生協会(会長・平公夫ナシオ社長)が開催された11日、コープさっぽろの大見英明理事長が「アマゾンの実相」に関して特別報告行った。昨年10月と今年4月に視察した米国の流通事情を分析したもので生協のトップとして多くの示唆を含んだ報告となった。後半にあたる2回目を掲載する。IMG_3906(写真は、生協会で特別報告をする大見英明理事長)

「シアトルには、コープが3つある。REIーCOOPはアウトドア専門店チェーンの生協だが、非常に繁盛している。アマゾンにはまさしく勝てるのではないかと思う。店内には、16mから20mのボルダリングの壁があって、小学校低学年の子どもが登って遊んでいた。子どもが遊ぶツリーハウスも店内にあった。防水透湿性素材の商品をREIーCOOPのPBとして展開するなど意欲的。大量の種類の衣料品を試着でき、選ぶ楽しさが際立っている」

「ECサイトが影響力を持つ時代にあっては、リアル店舗では経験価値が重要になると数年来言われている。エンターテインメント(娯楽性)、エステティック(美的要素)、エスケープ(非日常性)、エデュケーション(教育的要素)の4つのEだ。それらの経験的価値を持った施設が求められてきている」

「2つ目のセントラルコープは、料理に特化しており食材の品揃えが突出している。オーガニック系、ドライフーズ系、シリアル系の具材が200種類以上用意されていた。買い物客の健康と楽しみのために新鮮な地元の食品とサプリメントを提供している」

「3つ目のPCCナチュラルマーケットという生協は、シアトルを中心に12店舗展開している。1953年創業、会員数5万8000世帯で、ホールフーズに対抗してオーガニックに特化している。フードコートには、料理を学べるセントラルキッチンもある。生鮮売り場と惣菜売り場は、ビジュアルが驚くほど良かった。まさに芸術的で今で言うインスタ映えする店づくりをしていると感じた」

「ここからはアマゾンに対抗する日本の可能性について話す。将来は無人店舗になっていくのではないかという議論があるが、まだアマゾンゴーは普遍化できておらず、そう簡単に広がることはないだろう。日本は就労人口の圧倒的不足があり採用難も続く。それらを考えると、日本では自販機の大型化がベストな選択ではないかと思う。キュッシュレス対応、冷蔵・チルド対応の自販機で人を常駐させることはできないが、食を提供しなければならないような場所に設置する。例えば大学構内、コンビニの夜間営業対策、人口3000人以下の地域、病院の施設内などに設置していくことはできるのではないか」

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