アークスグループの道東ラルズ(本社・北見市)と篠原商店(同・網走市)が3月に合併、道東アークス(同・北見市)がスタートした。合併会社の初代社長に就いたのが、篠原商店社長だった篠原肇氏(62)。就任4ヵ月が経過した篠原社長に今後の店舗展開や売り上げ目標などを聞いた。
【しのはら・はじめ】1952年2月生まれ、網走市出身。札幌短大卒後に会社務めを経て篠原商店入り。92年に実父の死去に伴い社長に就任。2011年11月アークスが子会社化、16年3月道東ラルズと合併、社長就任。
――3月に道東ラルズと篠原商店が合併して道東アークスが誕生しましたが、設立の狙いを聞かせてください。
篠原 小さな規模のままでは生き残れないのが、今の食品スーパー業界。合併によってスケールメリットを追求するのが一番の狙いだ。地域でドミナント(集中出店)を築くことよって販促や物流などでコストダウンが可能になり経営への効果が出てくる。
――現在の店舗数と売り上げ規模は。
篠原 旧道東ラルズ11店舗、旧篠原商店3店舗で計14店舗(ビッグハウス2店舗、ラルズマート8店舗、スーパーアークス1店舗、ベーシック2店舗、リカー専門店1店舗)を展開しており、昨年度決算で売上高は約200億円。オホーツク管内の人口は約28万人で食品マーケットは約780億円だが、人口は5年間で5%強減った。昨年から見ても1・3%減だ。当然食品マーケットも縮小する。当社は北見・網走では強いが、遠軽、紋別には店を出していない。両地域は今後の出店候補地だ。
――安売りのトライアルが北見市に出店したのは一昨年ですが、影響は出ていますか。
篠原 旧道東ラルズは、トライアル出店によって影響を受けた。新しい店が1店舗でも増えればある程度の影響を受けるのは当然だ。ただ、昨年からは戻してきている。競合店ができても棲み分けができる間は良いが、人口減によってマーケットがだんだんとシュリンク(小さくなる)してくると生き残りをかけてサバイバルゲームになる。
――現在の社員数は。
篠原 パートを含めれば1000人を超えている。本社にはデリカセンターを併設しており約40人が寿司や米飯を生産している。高齢化や人手不足でセンターの働き手がなかなか集まらない中、秋からミャンマーの外国人技能実習生10人を受け入れる。これを機に設備の効率化や生産ラインの強化も図りたい。また、各店舗のインストア生産も人手不足なのでデリカセンターに一部生産を移管する考えだ。
――惣菜の需要は堅調に伸びていますが、差別化を進めるうえでの惣菜戦略は。
篠原 揚げ物などはインストアで作り、和・洋惣菜は外注品が多い。美味しさを追求するためには保存料などを極力少なくしてセンターで自社生産、各店舗へ短時間で効率的に配送するのが不可欠だ。惣菜で我々が目指しているのは家庭の味。センターで生産しても家庭の味が出せるように素材の良さを生かした商品を提供していく方向で考えている。
――それは旧篠原商店の得意分野ですね。
篠原 外注で美味しいものがあればそれに越したことはない。サラダなど洋惣菜は美味しいものがあるが、和惣菜に関しては自社で作っていきたい。要はお客様の心に届くような商品が扱えるかどうかだ。差別化できるのは水産と惣菜。鮮度によって美味しさが変わる。それを分かっていてもなかなかやりきることができない面がある。
――出店戦略と今後の売上げ目標は。
篠原 北見市内の小型店は見直しをしなければならない。古い店舗が多いので、周辺環境なども勘案してリニューアルやスクラップ&ビルドを検討していく。人口減少は今後も続くため、我々は“縮小拡大”を目指す。10のマーケットで3店舗あれば平均3・3のシェアだが、マーケットが8にシュリンクして1店退場して2店になれば4のシェア。そういう考え方が縮小拡大。
現在、留辺蘂、網走、斜里などでは40%弱の高いシェアを取っている。数年先には、遠紋地区に出店して売上高300億円を目指し、将来的には500億円が目標だ。
――北見に本社があることで地域密着の展開の強みがあると思います。
篠原 札幌に本社や本部がある食品スーパーなどは、どうしても札幌圏で成功したMD(販売政策)を地方に水平展開しようとする。しかし、嗜好や売れ筋は地域によって違う。我々は本社のあるすぐそばに店がありますから地域に即した売り方ができる強みがある。当社の一番店は、北見市のスーパーアークス桜町店と網走市のベーシック駒場店で年商25億円前後。今後は標準フォーマットの店舗モデルを整備して300億円に向け1店舗10億円の店舗を出していきたい。
――本日は、ありがとうございました。
(写真は、道東アークス本社)