イオン北海道(本社・札幌市白石区)の2016年2月期決算は、昨年9月に承継した道内ダイエー9店舗の経費負担増によって営業利益は15年2月期比1・9%減の79億2900万円だった。売上高は同9%増の1703億500万円に伸びた。売上高営業利益率は15年2月期の5・2%から4・7%に0・5ポイント低下したが、売上高営業利益率4%以上を5期連続、自己資本当期利益率(ROE)は6期連続で10%以上を維持しており、「安定した業績」としている。IMG_2513(写真は、イオン旭川駅前)

 昨年3月に開店した「イオン旭川駅前店」は、全国イオングループの中でも外国人旅行客の来店が多く地元客も合わせて16年2月期ではモール全体で800万人が来客、想定を上回った。
 既存店は、昨年4月、「イオン札幌平岡店」に新しい衣料モデルを導入、好調なことから他店舗に水平展開。11月には「イオン札幌元町ショッピングセンター」のフードコートを大型活性化するなどしたことで第4四半期は既存店売上高が前期比1・3%増になった。しかし、通期では既存店売上高は同1・3%減、客数も2・5%減で課題を残した。
 
 ダイエー9店舗の承継による増収効果は半年分。ダイエー店舗は食品がお客の支持を得ており、イオン北海道の地域密着の品揃えの融合で承継店舗の営業利益は計画を上回った。
 
 部門別売上高と15年2月期対比は次の通り。カッコ内は既存店比。
■衣料 346億3000万円 102・6%(96・6%)
■食品 995億800万円 113・9%(100・6%)
■住居余暇 341億2100万円 107・2%(99・8%)※家電、文具、サイクル、携帯電話、ホームファッション、ヘルス&ビューティケア
■その他 20億4400万円 63・5%(60・9%)※委託販販売、学生服、ギフト券、その他
 粗利(売上総利益)は26・9%で前期より0・1%増えている。営業利益は既存店で増益だったが、承継にかかる経費を計画内で収めたことで減益率は1・9%にとどまった。
 
 期中の設備投資総額は127億円と数年来、例を見ない規模。新店投資は6億8200万円、既存店投資は10億9000万円とほぼ例年並みだが、「イオン札幌平岡店」の土地を約80億円でSPC(特定目的会社)から取得した。 
 
 17年2月期は、承継ダイエー店舗の「イオン東札幌店」をはじめ活性化投資を実施、コンビニ型食品スーパー「まいばすけっと」もスクラップ&ビルドで札幌市内ドミナント化(集中出店)を進め、引き続きインバウンド対応を強化するなどして売上高8・6%増の1850億円、営業利益0・9%増の80億円を予定している。
 ダイエー承継効果はフル寄与を見込むが、合理化による経費増吸収が追い付かず売上高営業利益率はさらに0・3ポイント低下して4・3%に下がる。「承継バネ」は温存されそうだ。


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