「国分北海道」黒澤良一社長に聞く 地域密着の全国卸として大手小売業から酒販店までフルカバー

流通

 ―—メーカーとの共同開発やPB開発などの考え方は。
 
 黒澤 道内には小さいメーカー様もたくさんあります。そういうメーカー様は、自分たちの商品をどうやって道内外に売っていけば良いのかをあまり良くご存知ない場合があります。当社は、食品卸として売ることにかけては蓄積されたノウハウを持っています。また、道と協力しながら中小の食品メーカー様とタイアップ、商品作りを進める体制も整えています。道内産品の道内・道外販売と優れた食材が豊富にある北海道での商品作りを両輪で積極的に進めていく考えです。
 
 中国・上海には、国分のグループ会社があるので、現地での展示会には昨年出展しましたが、今年も継続して出展します。これまでも道内産品の移出や輸出に取り組んできましたが、例えば広島県のスーパー、イズミ様が北海道物産展をする際には現地の国分担当者に任せていた面がありました。これからは国分北海道として現地に出向いて商談する体制に改めます。北海道の産品を積極的に売り込んで行くようにした訳です。
 
 ――国分というとドライ食品の卸というイメージ強いですが、他の領域はどう伸ばしますか。
 
 黒澤 確かに国分グループは乾きモノ(ドライ系食品)とお酒の卸と見られますが、低温ビジネスとフードサービスも展開しています。現在でも100億円近い売上げがありますが、やや認知度が低いのが難点です。フードサービスは、外食産業様やスーパー様のインストア調理向けに食材を供給するビジネス。スーパー様の惣菜部門は、どこも2桁以上の伸びを見せていますから、そうした成長領域に当社も積極的に関わっていきます。
 また、低温ビジネスはチルド商品と特殊な生鮮として有機野菜などを展開しています。有機野菜は昨年12月から始めたばかりの事業で売上げ規模はまだ小さい。道内・道外産の有機野菜を取り扱っており、調達ルートは当社が開拓し丸果札幌青果経由で仕入れています。スーパー様での取り扱いが始まっており今後増やしていきます。いずれにしても、コアビジネスをしっかり外さず、フードサービスと低温ビジネスの拡大を図っていきたい。
 
 ――お酒の販売戦略については如何ですか。
 
 黒澤 いわゆる業務用酒販チャネルは、当社と北酒販さん、セイコーフレッシュフーズさんの3社が主に扱っています。当社は、酒の輸入もしているのでそれらも販売促進をして扱ってもらう先を増やしています。大手居酒屋様との取り組みも強化します。それにフードサービスで食材も含めていければと考えています。業務用酒販では、ホテルなどユーザー様と直取引をせず、必ず業務用の酒販店様を経由して納入します。何十年もお世話になった酒販店様を通り越して直での取引はやりません。
 
 ――20年に向けての設備投資計画については。
 
 黒澤 関東では圏央道(首都圏中央連絡自動車道)沿いに、5ヵ所くらいの物流拠点を最近作りましたが、道内でも整備したい。現在、道央には札幌の丘珠、発寒と恵庭の3ヵ所に物流拠点がありますが、3温度帯(冷凍・冷蔵・常温)の機能を持つセンターがないので2ヵ所くらいは新設したいと思っています。
 
 —―道内流通業界は今後、どう変化していくと思いますか。
 
 黒澤 一般論で言えば、SM(食品スーパー)のコンビニ化、コンビニのSM化という方向でしょう。コンビニの店舗面積は少しずつ大きくなっていますし、コンビニの強みであるカウンター周りのサービスやマルチプリンターサービスも少しずつSMが入れていくのではないでしょうか。
 2015年の国勢調査速報では、道内人口が約538万人と5年前に2・2%減りました。循環型経済を発展させて、若い人たちの道外流出を防ぐことが必要でしょう。当社として取り組みたいことのひとつがサハリンへの輸出。サハリンのスーパーにはNB(ナショナルブランド)商品があるが、サハリンに近い北海道の食品卸として関わっていければと考えています。(終わり)

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