「買い物難民の栄養不足を解消します」――コープさっぽろ(本部・札幌市西区)と大塚製薬(本社・東京都千代田区)は、5月10日からコープさっぽろの移動販売車を利用した「かんたん栄養チェックサービス」を道内全域で開始する。移動販売車のドライバーが利用者にタブレット端末を渡し、簡単な設問に答えると栄養状態がその場でわかる。食習慣の改善に役立ててもらうのが狙い。IMG_2881(写真は、タブレット端末を示す大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部札幌支店長の高谷浩司氏)

コープさっぽろと大塚製薬は昨年6月、四国大学生活科学部の吉村幸雄教授と移動販売車を利用している買い物過疎地の高齢者など約200人の健康調査を実施。コープの店舗利用者と栄養摂取の状況を対比したところ、「明らかに差があった」(吉村教授)。
 吉村教授によると、ご飯や魚介類の摂取に違いはなかったものの、肉、卵、乳製品、緑黄色野菜、果実の摂取に違いが目立ったという。これらのことから移動販売車の利用者は、ミネラルやビタミンの摂取量が店舗利用者に比べて少なかった実態が分かった。
 吉村教授は、「高齢者はメタボへの不安やコレステロールの取り過ぎに関心が向かい、結果必要な栄養素が不足していることに気づいていない場合が多い」という。

 コープさっぽろと大塚製薬は、北海道栄養士会の協力を得て、この結果をもとにタブレット端末を使って簡単に栄養チェックができるサービスを開発。移動販売車のドライバーがタブレット端末を利用者に手渡し、その場で「チーズやヨーグルトは週に何回食べますか」、「最近、食が細くなりましたか」など10の設問に答えると即座に不足している栄養素が分かる仕組み。音声ガイダンスがあるので余計な手間もかからない。

 例えば、たんぱく質が不足していると判定されると、ドライバーが判定結果のチラシを配布、たんぱく質が含まれる高野豆腐や黒豆、茶わん蒸しなどの摂取を促し不足をカバーしてもらうようにする。買い物客の近くまでラストワンマイルの販路を持つコープさっぽろのオーダーメード的な栄養管理サービスと言えそう。

 コープさっぽろは現在、78台の移動販売者を道内124市町村、234コースで週2回巡回している。約1000品目を積んでいるが、利用者が注文するケースも2割と多い。
 タブレット端末は20台用意しており、3ヵ月間単位で全道利用ができるようにする。5月10日から始まる最初の栄養チェックテーマは、たんぱく質でその後は順次テーマとなる栄養素を変更、買い物難民の食生活改善を支援する。

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