イギリスの流通小売業は、日本の流通小売業の近未来を示していると本サイトで書いたが、フィンランドも同様だという声があった。同国では、食品スーパーでシェア40%を握る巨大組織があるという。日本の流通小売業も寡占化の方向に進むのだろうか。


 フィンランドの人口は約524万人。これはほぼ北海道の人口と同じだ。ここで、食品スーパーでシェア40%を握っているのが、SOKという生協組織。生協組織の連合会で、日本で言えば日本生協連合会(日生協)のような組織。ただ、日生協の場合は、コープこうべやコープさっぽろがそれぞれ独立しているが、フィンランドのSOKは持ち株会社のように傘下の生協に対する経営権を保有しており、ヘッドクォーターとして統治しているという。食品スーパー部門の年間売上高は約1兆6000億円。
 SOKは、食品スーパー以外にも事業を手がけている。「生協と農協をプラスしたような事業を展開している」(コープさっぽろ関係者)ため、農機具や農業資材のほか、自動車の販売、さらにホテル経営も行っている。
 イギリスやフィンランドのように日本の流通小売業も寡占化の方向に向かうというのは、流通関係者の大方の見方だが、日本では食に関する地域性が諸外国に比べて高く寡占化に向かうには障害になるという声も根強い。
 その代表例が1年間を52週に区切って商品政策を変えるMD(マーチャンダイジング)。食品スーパーは、札幌市内を見ても飽和状態で各スーパーの競争は激しく、きめ細かなMDが生き残りの鍵になっている。チラシ配付数やポイント還元率を少しでも緩めると消費者は他店に流れるため、移ろい行く消費者をいかに引き止めるかに支出する費用は年々増えているのが実情。
 最近では、52週どころか1週間をさらに2回に分けて104MDでなければ消費者をとどませることができなくなってきている。そのうちに時間帯によるMDへ入っていくと見られ、そうなるとまますますコストアップが進み、食品スーパーの体力は消耗されていく。
 結果的に競争激化は優勝劣敗を導き、寡占化へ向かう一里塚ということなのか。イギリスやフィンランドの流通小売業に学ぶ点は意外に多いのかもしれない。


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