2016年の年頭を飾るアークス横山清社長インタビューの最終回は、道内食品スーパーの状況と横山社長が会長を務める新日本スーパーマーケット協会について聞いた。とりわけ道内の食品スーパー事情については、一般的に知れ渡っている情報とは異なるディープな部分にも話は及んだが、本欄ではその部分は割愛せざるを得ない。読者の皆さんは、3回シリーズの横山語録をどう読んだか…。(写真は、2015年11月24日、札証IRの個人投資家向け会社説明会で講演する横山清アークス社長)
「道内のSM(スーパーマーケット=食品スーパー)は、基本的なものとの相関関係から言って、ある意味で内容に相応しくない投資をしているケースもある。金融機関の融資などが詰まったことによって一番典型的な例として出たのが、道内のあるSMを巡るM&A(企業の買収・統合)だ。M&Aを仕掛けたSMはかなり無理をした投資になったのではないかと推測している」
「道内はコープさっぽろグループ、イオングループ、アークスグループ、その他があって3極と言われている。皆さんは3極のSMを同じように見ているようだけれども、その内容はそれぞれに違う。今、とても調子の良いSMだって実際の中身はかなりシビアではないか。また、一方のSMにしても店舗事業での厳しさは変わらない。3極と言っても実質的には3極ではない」
「2017年4月の消費再増税で食品は軽減税率が適用されることになっているが、ちょうどこのころは、世代交代、設備の更新などによってまとまったヒト・モノ・カネが動かざるを得ないところに来ている。各SMともに、それをどういう具合に対応できるかにかかっている。ここをクリアできるような条件を備えているかどうか。軽減税率が適用されることになったが、業界再編の引き金のひとつになる可能性はある」
「私たちが加盟している新日本スーパーケット協会(会長・横山アークス社長)と、もう一つの業界団体である日本スーパーマーケット協会(会長・川野幸夫ヤオコー会長)との合併問題はスッタモンダをしている。2つの協会は、2014年4月1日に合併・統合する予定だったが、日本スーパーマーケット協会が任意団体から一般社団法人に切り替わってからということで1年延期した。しかし、15年7月に社団化した以降も合併・統合が具体的に進まない。このため、この前の理事会で、合併・統合は一旦なかったことにしようということを決めた」
「その背景には税制問題がある。日本スーパーマーケット協会は、消費税増税反対の立場で、軽減税率の導入についても反対の立場を表明している。私たちの新日本スーパーマーケット協会は、軽減税率導入はレジ改良などコストがかかり大変なのは日本スーパーマーケット協会と同じ。基本的には軽減税率には反対だが、消費者サイドから見たら税は少ない方がいいんだから、それに応えるとすれば(軽減税率導入が)決まった以上はこれに全面的に対応できるようにしなければいけないという立場。新日本スーパーマーケット協会としては、決まった以上は追及しないでおこうと体制を組んで今、動いている」
「私はラルズ会長として日本スーパーマーケット協会副会長も兼務しているが、同協会はあくまでも消費増税も軽減税率も反対だという立場。如何に軽減税率が大変かということを政府に訴求し続けるという。そういうことで、合併・統合について互いに原点に返って仕切り直そうということになった。一般社団法人同士なのでもう一回スタートラインに戻ろうという訳です」
以上が、横山社長インタビューの概要だ。傘寿を超え今年81歳を迎える横山社長の怪気炎は衰えない。今年はどんな1年が待っているだろうか。(この項終わり)