セブン&アイ・ホールディングス(本社・東京都千代田区)は、傘下の総合スーパー(GMS)、イトーヨーカ堂の全国店舗181店舗のうち2割に当たる約40店舗を閉店することを明らかにしたが、道内流通関係者の間では道内店舗が閉店対象になるのかどうかに関心が高まっている。(写真は、イトーヨーカドー北見店)
GMSは、総じて食品は堅調に売上げているものの衣料や住居余暇関連などはカテゴリーキラーと呼ばれる専門店の影響を受け伸びが止まっている。セブン&アイは、今年度の重要経営方針として①過去のチェーンストア理論の否定②店舗主体の運営体制構築・強化を掲げ、GMS事業の収益性改善を図るためイトーヨーカ堂のMD(マーチャンダイジング=販売政策)改革、大幅な組織変更、単品管理に基づく在庫削減、テナントミックスによる売場活性化、さらに新店開発及び不採算店舗の閉鎖などを実行している。
セブン&アイでは、こうしたGMSの構造改革をしても活性化が進まない店舗を中心に2020年までに約40店舗の閉鎖方針を固めた。
イトーヨーカ堂が道内展開しているGMSのイトーヨーカドーは11店舗。直近の閉店は2013年9月の新川店(札幌市北区)。道内流通関係者の間では、数年前から「道内店舗は縮小方針」との観測が多かった。
しかし、今期に入ってからセブン&アイの重要経営方針に沿った動きとして、相次いで店舗活性化投資を実施。5月にアリオ札幌(東区)、7月に釧路店(釧路市)、福住店(札幌市豊平区)、8月には屯田店(同市北区)でリニューアルを行った。いずれも地域密着をより強化するための構造改革の一環。琴似店(同市西区)も近くリニューアルが予定されている。
また、資本業務提携している食品スーパー、ダイイチ(本社・帯広市)とのジョイントMDも進めている。帯広店(帯広市)では生鮮食品の仕入れを含めたMDをダイイチが担当、成果を上げ始めている。近く旭川店(旭川市)でも同様の取り組みを始める予定だ。
こうした活性化投資やジョイントMDの対象外になっている店舗の存続は微妙な情勢と見られる。とりわけ恵庭店(同)は今年4月に新規出店したダイイチ恵み野店(恵庭市)と商圏が重なっておりグループ内調整の対象になる可能性が高い。
ともあれ、道内GMS店舗では西友(本社・東京都北区)の店舗閉鎖も取りざたされておりイトーヨーカドーの不採算店閉鎖とともにここ数年は流通業界にとって腰の定まらない環境になりそうだ。ただ、GMSの閉店には多額の負担も伴う。「2社とも閉める体力があるということ。かつてのダイエーやマイカルなどと違い、決して侮れない」(道内流通企業トップ)としている。