人口190万人を超える札幌市で食料品を積んだ移動販売車の運行が始まった。コープさっぽろ(本部・札幌市西区)が8月末で閉店した手稲区の「ていね店」を利用していた組合員に利便性を損なわないため9月6日から始めたもので当面は日・月の2日間のみ運行し、11月上旬から手稲区内全域に運行エリアを広げる。(写真=「西宮の沢店」で商品を積み込み出発した札幌市内第1号の移動販売車「おまかせ便カケル」がコスモスが咲く中を出発した)
コープさっぽろは1997年、夕張生協を事業承継したのを機に、夕張市の店舗のない地域に住む組合員の買い物需要に応えるため移動販売を行ってきた。その運行ノウハウをもとに全道で増え始めた買い物難民対策として2010年から移動販売車によるサポートを本格的に開始。12年8月にはキャラクターの北海道犬の名前を公募、10月より「おまかせ便カケル」としてさらにエリアを拡大してきた。
現在、運行している市町村は124で人口カバー率は69・3%。車両数は75台、使用しているトラックは2t車のオーダーメイド車で、生鮮食品を含み約1000種類を品揃えしており、足腰の弱い高齢者を中心に安定した需要があるという。運行に当たり補助金は受けていない。1日客数の目標は50人、客単価2000円だが、「現在は事業として黒字」(移動販売車事業部前野清光部長)
食品スーパーがオーバーストアとされる札幌市内で移動販売車をペイラインに乗せるのは難しいとされるが、「手稲区や南区では組合員からの要望が多い」(前野部長)と言い、まず8月末で閉店した「ていね店」を利用していた組合員向けに試験運行することにした。
運行は、当面日・月のみで火~土に石狩市内を運行している車両1台を割り当て、西宮の沢店(西区)で商品を積み込み、日は「ていね店」駐車場前、月は稲穂や手稲本町、富丘地区などを回る。11月上旬には札幌市内専用車が1台納入されるため火~土に運転日を変更して手稲区全域に広げる。「日販10万円の目標が達成できれば要望が強い南区でも運行したい」(前野部長)としている。