アークスグループの道北アークス(本社・旭川市)が取り組む初の小型食品スーパー「ダ*マルシェ」の1号店が上川郡愛別町に12日オープンした。人口減少が進む地域の食インフラを支えるローコスト運営の小型モデル店で、6月までに上川町、比布町にも出店し利益体質が構築できるかを見定める。(オープン時には地元の人たちが並んだ)
12日午前8時にオープンしたのは、JA上川中央が愛別町で運営していたAコープの店舗跡に出店したダ*マルシェ愛別店。売場面積は437㎡。
ローコスト運営が可能なのは、3月から旭川市内で稼働した道北アークスの精肉・鮮魚パック工程ラインのプロセスセンターと5月から子会社の惣菜メーカー、ナイスフーズのデリカラインが動き始めたため。さらにプロセスセンターと同じ建物内にあるトランスファーセンターで店舗向けの荷分け作業を一括してできるようになったことも理由。
ダ*マルシェ愛別店では鮮魚・精肉・惣菜・米飯のほか一般食品など日常的な買い物ができる1万SKU(在庫保管単位)を揃えている。リーチインの冷ケースで冷凍食品を充実させ、菓子類は三菱食品のPB(プライベートブランド)『生活志向』を棚割りに組み込んだ。また、Aコープ時代から扱っていた化粧品類も継続して置いた。愛別町の特産品や産直野菜も販売している。
揚げ物など店内のバックヤードで一部作業を行ったものはホットデリとしてレジ周りで販売、淹れたてコーヒーも扱いイートインコーナーを設けた。レジはセルフレジでスキャンは店員が行い精算はお客がする形式。
店長のほか地元雇用のパート従業員6人(フルタイム換算)で対応、年商は3億5000万円を見込み初年度から黒字を見込む。長谷川信夫店長は、「町民のお役に立ち支持されて楽しく買い物ができる店にしたい」と語った。
オープンに顔を出した道北アークスの六車亮社長は「このモデルが成功するかどうか、期待と不安の船出だ。人口3~4千人の地域でシェア半分を取らないとやれない。愛別町の7割は町外で買い物をしているのでその半分程度はこの店を利用してもらえるように努力する」と述べた。
小型食品スーパーは、これまでにもたびたび時代の節目に登場しては消えていった。いずれも採算が合わなかったためだ。小型店はチェーン化して200店以上の出店をするか、ローコストで1店ごとに利益体質を作っていくかの二者択一しかない。ダ*マルシェは個店ごとの利益体質を作っていくことに重点を置いている。成功すれば、アークス各社の新たな出店戦略を担うモデルになりそうだ。
(地域の高齢者が多く買い物に訪れた)
(地元の愛別町特産品コーナーも設けている)