横山清アークス社長インタビュー①「2015年の北海道流通小売界を占う」

流通

IMG_2149 2015年が始まった。今年の北海道流通小売業界はどうなるのか、リアルエコノミー恒例の新年アークス横山清社長のインタビューを通じてこの1年を占ってみたい。アークスの今年のスローガンは、『我ら生活防衛隊 高志信頼団結で 一兆円を目指し 豊かな長寿社会 地方創生に資す。』――このスローガンに込めた意図を紐解くことからインタビューは始まった。
 
 ――一兆円という具体的数字がスローガンに入っていますね。
 
「2015年のスローガンには5000億円を超えて一兆円を具体的に標榜した。顰蹙(ひんしゅく)を買うのは覚悟のうえだ。私は以前から一、三、五の壁を破ると言っていた田辺昇一さん(経営コンサルタント)の言葉が好きだったし、経験からこれは当たっている気もする。30~40年前の話だが、もう一度思い出して肝に銘じる目的で今回使った」
 
 ――昨年のスローガンには“総攻撃”という言葉が入っていました。今回は、それがありませんね。
 
「2014年のスローガンよりも少し穏やかだが、私も半世紀以上、スーパー業界に身を置いて『お客様第一主義』、『お客様の台所の代理人』と言ってきた。やはり同じ品質だったら少しでも安いものを提供するのが我々の使命であり存在意義、理由でもある。インフレに対して生活防衛に徹すると言う意味で生活防衛隊とした」
 
「高志、信頼、団結の高志は、ビ・アンビシャスの意味で高い意識、高い理想、高い志を持とうということ。米国ホール・フーズの創業者、ジョン・マッキーの著作『コンシャス・コンパニー(邦語訳・世界で一番大切にしたい会社)』を読んでいるが、彼が言うのはコンシャスキャピタルがなければならないということ。つまり、愛社精神だとかお客様第一主義など金銭では計れない資本を持つことが大事だと。かつて言われたIQよりEQ(心の知能指数)に通じる。そうした高い志を持ち実行するには、信頼と団結がなければできない。まさしく私たちアークスが進んでいる道はこの道に他ならない」
 
 ――一兆円という規模は、ローカルスーパーが将来に亘って生き残る規模だと言うことでしょうか。
 
「大手流通資本が各地域でローラーをかけて行った後に生き延びる存在というのは、いろいろあるにしても大体我々のような形態だろう。各地域では、どんどん人口が減っている。そんな中で最後まで生き残って(商売を)やれると言うのは、地方でナンバーワンの業績を誇っている企業同士が手を組んで、全国三兆円規模になることだろう。その東の一角を我々アークスが担い、中央は誰かが、西日本も別の誰かが担うかが良いだろう。またお互いに連携することもあり得るだろう」
 
 ――スローガンにある長寿社会というのは示唆的です。
 
「私は、2015年に80歳になるが、80歳をスタートにして目指せ100歳と周囲に言っている。高齢になっても仕事をしている人たちを見ると健康だとか病気だとかは関係なしに、ちゃんとした(人生の)ロードマップを持っていてゴールに到達するかどうかは別にしてしっかりとそれを辿って行っている。私が社長を降りて一介の株主になっても、消費者になっても粛々と天から与えられた時間と才能を上手に使おうとと思っている」
 
 ―ー消滅自治体と言う言葉もあるほど地方は人口減、高齢化が進んでいますが、スーパーが地域経済に貢献できることは大きいと言うことですか。

「我々のグループでもそうだが、例えばお母さんがチェッカーで働いていたらその娘さんたちもチェッカーになりたいと入ってくる。親の背中を見てその職業に就きたいと思うのは自然な姿だ。その意味で地域密着型の展開というのは大切なこと。我々が雇用機会を作って行くことはアベノミクスの地方創生にも繋がるということで、今回のスローガンに地方創生の言葉を入れた。最後の“資す”は、“死す”に読み方近いから“資する”にしたかったが字余りになってしまうので迷った。しかし、フィンランド語で“シス(SISU)”というのは『努力する』、『頑張る』という意味もあると聞いたので“資す”にすることにした」(以下、次回に続く)

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