根室交通(本社・根室市)、くしろバス(同・釧路市)、ヤマト運輸(同・東京都中央区)は、2025年6月2日から、根室交通とくしろバスが根室~釧路間を共同運行する都市間バス「ねむろ号」を活用、ヤマト運輸の「宅急便」を輸送する客貨混載の本格運行を開始した。(写真は、「ねむろ号」を利用した客貨混載作業=ニュースリリースより抜粋)
道東地域は、人口減少により鉄道やバスの減便や廃線が進んでいる。根室~釧路間を結ぶ都市間バスも、利用客減少で路線の存続維持が困難となっていたが、高齢者や若年層の交通弱者にとって、通院や通学など重要な交通インフラということもあって、道庁や根室市が支援。運行本数を減らしながらも継続している。ヤマト運輸は、道内で138ヵ所の拠点を持ち、道内全てのエリアで物流サービスを展開しているが、過疎化や輸送力の低下が進む中、持続可能な物流ネットワークが課題となっている。
こうしたことを受け、3社は、2025年4月1日から「ねむろ号」を活用した客貨混載の実証実験を行い、実用性や安全性を確認してきた。実証実験の結果を受け、実用化に大きな問題はないとみて、2025年6月2日から本格運行に切り替えた。
具体的には、ヤマト運輸釧路西営業所(釧路市)に到着した厚岸郡厚岸町行きの荷物を、ヤマト運輸のセールスドライバーがくしろバス本社(釧路市)まで運び、「ねむろ号」のトランクルームに積み込む。「ねむろ号」で厚岸町のヤマト運輸厚岸営業所と停留所「茶内」まで運び、それぞれの場所でヤマト運輸厚岸営業所のセールスドライバーが受け取る仕組み。ヤマト運輸厚岸営業所は、バス運行ルートに近く、バスダイヤへの影響は軽微。
バスの大容量トランクルームを貸し切るため、常温、冷蔵、冷凍、お買い物便のコンテナを効率的に積載できる。対象便は、平日便のくしろ本社12時40分発の「ねむろ号」。ヤマト運輸道東主管支店長の斉藤公平氏は、「根室市から根室市民の交通インフラになっているバス運行継続に課題があるという話を聞き、当社として持続可能な運行に向け、自治体、根室交通、くしろバスと連携して、客貨混載の運用を開始した」とコメントしている。