石狩市緑苑台で、公道を使って行われている無人自動配送ロボット配送サービスのデモンストレーション走行が2024年9月11日、メディア向けに公開された。今年で4回目となる実証実験は、同年8月22日から行われており、今回は、21時までの夜間も実施して、実用化に向けた検証を進める。実証実験は、同年10月下旬まで予定されている。公道を使った無人自動配送ロボットの実証実験は、全国でも石狩市だけの取り組み。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。
(写真は、公道を走る無人自動配送ロボット)
(写真は、無人自動配送ロボットのロッカーに積み込まれている商品を受け取る親子)
この実証実験は、京セラコミュニケーションシステム(本社・京都市伏見区)、出前館(同・東京都渋谷区)、ヤマト運輸(同・同都中央区)、セコマ(同・札幌市中央区)、Packcity Japan(同・東京都千代田区)が、4年前から石狩市や緑苑台住民の協力を得て、全国で唯一実施している。今回の実証実験は、海外製の無人電気自動車を利用したデリバリーサービスと移動型宅配サービスの2種類。
デリバリーサービスは、出前館のシステムを使ってスマートフォンで注文すると、「セイコーマート緑苑台店」から注文した商品が、無人配送ロボットのロッカーに収納されて、注文者の自宅前まで届く仕組み。配送ロボットは、時速10㎞で住宅街の生活道路を走り、交差点では一旦停止して、安全を確認したうえで走行するようになっている。移動型宅配サービスは、ヤマト運輸の配送通知がスマホに届いた後、自宅付近の受け取り場所を指定すると、PUDOステーションを搭載した無人自動配送ロボットが、その場所に接近した段階で通知が届き、PUDOステーションのロッカーを解錠して受け取ることができる。
デリバリーサービスは、「セイコーマート緑苑台店」の常温品306品に限られ、ホットシェフや酒、冷蔵・冷凍品は取り扱わない。2024年8月22日から同年10月下旬まで、水曜~日曜の10時~21時までの間で、1日5便走らせる。宅配サービスは、クール宅急便は対象外で、同年9月11日から同年10月下旬まで、9時~21時の土日祝を含めて運行する。
(写真は、デモンストレーション走行のセレモニー。左から京セラコミュニケーションシステム・大橋真経営企画室室長、石狩市・加藤龍幸市長、出前館・槙広貴戦略開発グループマネージャー、セコマ・池田祐介新規事業部次長)
デモンストレーション走行のセレモニーに参加した石狩市の加藤龍幸市長は、「高齢化社会によって買い物弱者が増えているほか、ドライバー不足の課題もある。京セラコミュニケーションシステムが、毎年少しずつバージョンアップして、利便性の向上に寄与していただいていることは喜ばしい」と話し、今後も協力していく姿勢を見せた。
出前館の槙広貴・戦略事業開発本部戦略事業開発部戦略事業開発グループマネージャーは、「少子高齢化や働き手不足で展開エリアが拡大できなくなってくる状況が近づいている。自動運転による配送サービスは、こうした課題解決に有効。今後も自動運転の実証実験に、積極的に参加したい」と述べた。
セコマの池田祐介・新規事業部次長は、「少子高齢化や人口減少で、地域の食料小売店の存続が危ぶまれており、買い物難民がさらに増えていくと予想される。今回のような自動運転車両を使ったサービスは、将来的な配送手段となる可能性がある」と語った。
京セラコミュニケーションシステムの大橋真・経営企画室室長は、「住民、関係者の協力をいただきながら、この地域でより良いサービスの実現を目指している。本年度は、夜間や土日を含めた週7日の運行試験を通じて、車道を走るロボットの社会実装を実現したい」と話した。京セラコミュニケーションシステムでは、2030年に無人自動配送ロボットによる配送サービスの実用化を目指している。