札幌市白石区流通センター3丁目227-172ほかの「札幌貨物ターミナル駅」構内に北海道最大の物流施設「DPL札幌レールゲート」が、5月31日に竣工した。大和ハウス工業(本社・大阪市北区、以下大和ハウス)と日本貨物鉄道(同・東京都渋谷区、以下JR貨物)が共同で建設したマルチテナント型物流施設。「駅ナカ」にあるためトラック輸送と鉄道輸送の効率的な積み替えが可能になり、全国各地、道内各地にスムーズな輸送が可能になる。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。


(写真は、「DPL札幌レールゲート」の内部。屋内にトラックバースが設けられている)
(写真は、「DPL札幌レールゲート」の屋内スロープ)

「DPL札幌レールゲート」は、敷地面積約1万5230坪(5万348㎡)、建築面積約8926坪(2万9509㎡)、鉄筋コンクリート造3階建て、延べ床面積約2万6098坪(8万6276㎡)。高さ約25m、長さ約250m、幅約140mの建物は、白を基調にした外壁で物流施設としては窓が多いのが特徴。一般的に物流施設の窓は極力少なくするが、札幌市の消防条例により窓を多く設置したという。窓を設置しなければ消火設備のさらなる充実が必要だったためだが、窓の多さが施設の開放感を醸し出す効果を生み出している。
 建築主は、大和ハウスとJR貨物などによる特定目的会社で2020年7月1日から、戸田建設(本社・東京都中央区)の設計、施工により約150億円を投じて建設された。土地はJR貨物、建物は大和ハウスの所有となっているが、建物は今後、不動産投資信託の流動化物件になる方向。

 施設内の天井高は5・5mで大和ハウスが手掛けている他のマルチテナント型物流施設「DPL」シリーズと同じ。照明はLEDを使用、屋根は積雪を考慮して通常の「DPL」よりも厚くしているという。一般的な物流施設は、屋外でトラックが各バースに乗りつけて荷物の積み降ろしをするが、「DPL札幌レールゲート」は、積雪の影響を受けないようにトラックが建物内部に入り、屋内に設けられたバースに乗りつけて荷物の積み降ろしが行える。長さ16mの40フィートコンテナを運ぶトラックでも屋内スロープから屋内にある車路を通って約170台分のトラックバースに乗りつけることができる。施設内の混雑を解消するため、トラックの入場予約システムを採用している。

 入居できるのは、最大12テナント。小規模利用を見込み、約1633坪(約5400㎡)の1区画から利用できるようにしている。現在、テナント申し込みは、メーカーが35%、流通業が20%、物流が20%、ECなど通販が15%という内訳。各テナントがマテハン機器の導入などインフラを整えて今夏頃から稼働させる。3階には12フィートコンテナを使用した従業員専用のカフェテリア、1階にはコンビニエンスストアも入る予定で就労環境も整備する。

 5月31日に現地で開かれた内覧会で、大和ハウス取締役常務執行役員建築事業本部長の浦川竜哉氏は、「札幌貨物ターミナル駅に近いため、モーダルシフト(トラック等による貨物輸送から環境負荷の小さい鉄道・船舶輸送に切り替えること)による環境負荷低減など今後の北海道の物流業界で重要な役割を果たしていくことが期待できる」と話した。また、JR貨物代表取締役社長兼社長執行役員の真貝康一氏は、「札幌貨物ターミナル駅からは、本州、道内向けに1日47本の貨物列車が発着している。『DPL札幌レールゲート』は、北海道と本州との物流、道内の物流において鉄道の役割をさらに高め、物流生産性の向上と地元北海道経済の発展に大きな役割を果たしていくと期待している」と話した。
 この施設で働く各テナント従業員の総数は未定だが、500人を超えない規模になりそうで、施設を通過する物量は金額ベースで数千億円規模になるという。
(写真は、会見後に握手する大和ハウス取締役常務執行役員建築事業本部長・浦川竜哉氏=右とJR貨物代表取締役社長兼社長執行役員・真貝康一氏)
(写真は、「DPL札幌レールゲート」の外観)


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