北海道エアシステム(HAC)は道に対して2012年度の人件費を11年度と比較して8%、5000万円減らす方針を伝えた。現在107人の従業員を7人減らし100人とするが、2人は機長で、そのうちの1人は昨年6月の奥尻空港での重大インシデント当時、当該機長から報告を受けた役員機長だった。この機長は昨年60歳の定年を迎え役員も降りて1年ごとの契約機長になっていたが給与は役員機長時代と殆ど変わらなかったという。
JAL(旧JAS)出身のこの機長がHACに入社したのは5~6年前。JALの機長時代は副操縦士に搭乗拒否されるなど問題の人物だった。HACに移ってからも独断専行が目立ち、管制官の指示を無視したり勝手な進路やスピードで飛行するなど、自分の腕に絶対の自信を持っていたとされる。
乗員たちの間では、その機長に付くグループと距離を置くグループに別れ、社内は険悪なムードが続いていたという。
昨年6月の重大インシデント発生時には、役員機長だったが、異常降下した航空機を操縦していた機長から飛行データを解析する要請を当日に受けたが、実際に解析データを取り寄せたのはその数日後で、この空白期間がHACの安全管理体制に問題ありとして国交省から事業改善命令を受ける直接的な原因になった。
昨年60歳の定年で役員を降り、1年ごとの契約機長になったが、通常であれば運動能力等の検査をクリアして65歳までは機長として働くことができる。
しかし、会社側はこの機長に対して契約更新を拒否、3月末で退職することになった。役員機長時代の年収は2000万円を超えていたというが、契約機長になってからも給与はそれほど下がっていなかったという。
HACの乗員たちの間では、この機長が去ることで社内環境が大幅に改善されるという見方をしている。
なお、この機長は次の働き口として既にLCC(格安航空会社)入りが決まっている。