北海道エアシステム(HAC)の新社長に、日本航空(JAL)監査役を7月10日まで務めていた田村千裕氏(63)が就任することが決まった。高橋はるみ知事が、西村公利現社長(55)の後任の人選をJALに依頼、JALは安全運航部門の責任者を務めたこともある道産子で北大卒の田村氏を推薦、筆頭株主の道はこの人選に同意し、7月末の臨時株主総会後に正式就任する。
 
 田村氏は1972年北大理学部卒。JALに入社してパイロットに就き、その後は取締役運航本部長や専務執行役員安全推進本部長を経て監査役。会社更生法を申請したJAL再建に不可欠だった企業体質改善に大きな役割を果たしたとされる。
 
 昨年4月のHAC新体制移行に伴い、筆頭株主の道は「航空経営に通じた民間人」を新社長に迎え入れる考えだったが、当時はJAL再建が始まったばかりで、西村氏に代わる人物が見つからなかったため、西村氏を続投させることになった。
 
 丘珠空港への一拠点化を果たした昨年6月1日から3日後に奥尻空港で異常降下のアクシデントが起き、安全運航体制が十分に機能していないとして東京航空局は事業改善命令を発動。しかし、その後も機材トラブルや欠航が続き利用客が減少、新体制1年目の2012年3月期は、5億6100万円というHAC設立以来最大の経常赤字を計上していた。
 
 経営危機に陥ったHACの筆頭株主として道は監査法人に事業検証を依頼、2億円の損失補償を決めるなど、2度目の新体制に向けて準備を進めていた。
 
 田村氏は、JAL時代の経験からHACに必要な安全運航体制と企業体質改善に手腕を発揮するものと期待される。
 
 HACは、1997年9月30日に、道と当時の日本エアシステム(JAS)が共同出資して設立、初代の神田武社長をはじめ馬場康之氏など歴代社長はJASの管理畑から選ばれていた。04年4月、JASはJALと合併しHACはJALの子会社に変更されたが、役員は旧JAS出身者で占められ、08年に社長に就いた西村氏も旧JASの管理畑出身だった。
田村氏は、HACにとって初の旧JAL、運航部門出身の社長になる。


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