玉ねぎ畑が広がる札幌市東区丘珠に白壁の巨大な物流センターが完成した。共通運送(本社・札幌市白石区)とニッポンハムグループの日本デイリーネット(同・茨城県築西市)が共同で建設したもので、札幌中心部からわずか6㎞、道央道のインターチェンジにも近い立地を生かし札幌市内や道内全域の配送拠点の役割を担う。10月15日、真新しい物流センターが始動する。(写真は、丘珠に出現した巨大物流センター)
共通運送と日本デイリーネットは、これまでも札幌市白石区米里で共同の物流センターを稼働させてきた。共通運送は「FK(フレッシュ共通の略)第3センター」、日本デイリーネットは「北海道センター」と名称は違うが、そこではニッポンハムのシャウエッセンなどの商品を取り扱ってきた。徐々に物流量が拡大、施設が狭隘化してきたため東区丘珠に新物流センターを建設することになった。
(写真は、プラス5℃に保たれた冷蔵庫)
総工費40億円を投じてこのほど完成した新物流センターは、敷地面積5139坪(1万6991㎡)を使った鉄骨造2階建て延べ床面積2871坪(9490㎡)の建物で22ヵ所のドックがある。建物内部に入ると天井まで高さが6・5mでゆったりとした空間が広がる。1階と2階にはプラス5℃の冷蔵庫(252坪=833㎡)、マイナス25℃の冷凍庫(240坪=795㎡)などの保管庫が合計6室配置されている。
(写真は、自動ラック冷凍倉庫とその内部)
また、1~2階を使った自動ラック冷凍倉庫は高さ1・1m、重さ0・8tまでのパレットを合計2940枚収容可能で6基のクレーンによる自動収納・搬出ができる。地震の揺れを最小限に抑える減振ダンパーによってラックの揺れを最小限に抑え、荷物の落下を減少させる工夫も施した。1時間当たり6基で360枚のパレットを搬送させることができるという。
ここで扱うのはニッポンハムの冷凍チルド商品が3分の1、他メーカーの肉加工品やスイーツ類、水産練り製品などが3分の2という比率。ここからスーパーやドラッグストアなどの物流センターに仕分けして納品する。取り扱う商品の物量は、1日30t前後、搬入・搬出するトラック台数は1日80台前後になる。
センターに従事するのは約100人でそのうち半数が女性。このため女性用トイレには小物を置く棚を設置、更衣室にはパウダールームも設け休憩室はフードコート並みのレイアウトになっている。
(写真は、共通運送永原敏雅社長)
永原敏雅社長は、「札幌中心部から近いため物流効率化と同時に通勤10分圏内の働きやすい環境をつくることができた。働く人に優しいセンターとして配送やピッキング、仕分け作業の効率化が図れる」と話している。センターは、市街化調整区域内にあり農地を転用して建設、「周辺農家の理解を得て行政の指導の下、手順を踏んで対応して建設することができた」(永原社長)と工業団地内に建設するケースと違う苦労があったという。