JR北道道(本社・札幌市中央区)は18日、単独では維持が困難な路線を発表した。バス転換を提案する3区間を含む10路線13区間、1237㎞にも及び、同社の営業㎞数の半分にあたる。単純に言えば、これが今のJR北海道の身の丈に合った距離数だということ。鉄路半減の衝撃を大手メディアは北海道だけでなく全国に発信した。IMG_7039(写真は、夕張支線を走る列車。この路線は地元夕張市が廃止前提にJR北海道と調整を始めている)

 そもそも無理な話だった。30年前の国鉄の分割民営化は単純に地域割りされたにすぎないからだ。広域分散している北海道の地理的条件を見れば、JR北海道は生まれながらにハンデを背負っていた。国から経営安定基金をもらい、その金利収入で本業赤字を埋めるビジネスモデルが30年も続いてきたことが不思議。
 
 2011年5月の石勝線特急脱線炎上事故は、幸いにして死者が出なかったものの、それ以降、線路の保守点検データ改ざんや貨物列車脱線事故など、身の丈に合わない経営のツケが一気に噴き出した。道内経済界の一翼を担った現職社長と社長経験者の相次ぐ自死は、民営化の犠牲という面もあった。
 
 今回、JR北海道が13区間の公表に踏み切ったのは正しい選択だった。道内だけでなく全国にこのニュースが発信されたことにより、廃線可能性の公表はJR北海道の経営問題から、地域消滅に繋がる社会問題に国民世論のステージが変わっていくからだ。
 
 メディアが廃線になる可能性が高い北海道の地方の状況を全国に発信すればするほど国民の共感が増え、社会問題は政治問題化していく。社会の歪を放置する政治を世論は嫌うからだ。
 
 JR北海道は創価学会・公明党との関係が深いとされる。その役員人事も両者の意向が働くとさえ言われる。JRを監督する歴代の国土交通大臣のうちで北側一雄氏、冬柴鐡三氏、太田昭宏氏、そし現在の石井啓一氏が公明党議員だ。8月に就任した自民党の二階敏博幹事長は公明党の支持母体、創価学会と太いパイプがあるという。
 二階幹事長誕生で安倍政権の権力構造にも変化が表れ始めたとされ、国会に吹く解散風とともにJR北海道が公表した鉄路半減は、政治メニュー入りの道を歩み始めた。


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