JALの会社更生法が東京地裁に認可され、JAL再建が本格スタートする。それに伴って、JALが出資する北海道エアシステム(HAC)の新体制移行へ残された期間も秒読み段階に入ってきた。しかし、道が出資を求める経済界の反応は厳しい。果たして新年度に間に合うのか。


 道が11月24日の道議会の新幹線・総合交通体系特別委員会で示した事業プランによると、経済界へ要請する出資比率はおよそ30%になる。
 道内経済界の首脳は、道から事業計画の説明があったことを認め、次のように語った。
「我々の会社では、事業計画をきちっと精査しないと対応を決められない。まだ、精査が終わっていないので出資するともしないとも返事はしていない」
 その首脳は、道の事業プランについてこういう見解だ。
「事業計画を詰めた上での出資要請にはなっていない。我々が見たところ、事業計画自体が客観的に粗い面がある。例えばJALがどの程度実質的な業務運航に関与してくれるのかとか。それが詰まっていなければ、あの会社は成り立たないですよね。だけどJALにしてみれば、もう関係会社じゃありませんよ、ということでしょ。おそらく、JALとの業務提携ということになると思うが、提携の中身とかそういうところがまだ詰まっていないと判断せざるを得ない」
 上場企業が出資するには、配当というリターンが見込めないと株主代表訴訟の対象になってしまいかねないため、出資には慎重だ。
 首脳は続ける。
「例えば、JALが債務保証している1機を5億円でHACが買い取るなど、そういうところは詰めてからでないと判断できない。もっとも、我々との話し合いで、『こういうところはどうなっているか』、『ああいうところはどうなっているか』などとキャッチボールしながらで詰まっていくんだろうとは思いますが――」
 来年度からの新生HACでは、運航、補修などすべてJALにたよらざるを得ない。とりわけ安全運航の面から補修が最も大事な問題。それを自前でやっていくことはとてもできない。仮に補修を自前でするなら事業計画は大きく変わってしまう。
「出資をするかどうかを判断するのには、時間がかかります。事業計画を作った人たちはみんな素人ですからね。もっとも、それをやって失敗したのがエア・ドゥの最初の時期でしたからね」(同首脳)
 現在のところ、新生HACへの出資要請を受けた企業はない。
 経済団体もエア・ドゥのときに行った奉加帳方式による広く浅い出資要請は受けない考え。「道の出資要請は相対になるでしょう」(別の経済界首脳)


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