釧路信用組合は、金融機能強化法に基づく公的資金注入の申請を検討することになった。額は数十億円規模になる見通しで実際に注入を受けるのは夏以降。資金需要の乏しい中で注入後にリスクを取った貸出金増加に繋がるかどうかは未知数。
同信組は、信組の全国組織である全国信用協同組合連合会(全信組連)から2010年に30億円、11年に40億円の資本支援を受けている。11年3月期までは4期連続の赤字だったが、12年3月期に5期ぶりに黒字になり、13年3月期は1億1500万円の大幅な増益を確保した。
また、自己資本比率も11年3月期の6・77%から13年3月期には8・11%に回復、いずれも国内基準の4%を上回っており再建は順調に進んでいる。
今回は、公的資金によってさらに財務基盤を高めるのが狙いだが、資金需要が乏しい中で貸出金の増加に繋がるかどうかははっきりしない。
同社の貸出金総額は13年3月期で462億円。そのうち不良債権額は109億円で不良債権比率は23・65%と高い。引当率は92%となっているものの、こうした不良債権先に分類されていない昨年3月まで切れた金融円滑化法適用企業もあるものと思われる。
貸出先で最も多いのは不動産業の78億円で以下、地方公共団体72億円、70億円の各種サービス業、建設業67億円、個人商店等64億円と続く。
道内7信組の11月時点での資金需要は低調を脱し切れておらず、一部には高齢者向け住宅やソーラー施設向けなどが伸びているものの「それ以外の前向き資金需要は乏しい」(信組関係者)。北海道新幹線の函館開業が迫っている道南地区でも信組の取引先にまで資金需要は広がってきていないという。
釧路信組の営業エリアである道東地域も同様の金融環境と見られ、公的資金注入による財務基盤向上以外の効果はそれほど期待できそうにない。