北海道信用保証協会の新会長に高原陽二氏(64)が就任した。道庁時代は水産畑から知事政策部に移り副知事に就任、高橋はるみ道政の2期目後半と3期目前半の4年間を支えてきた。フットワークの軽さと明るさが持ち味で、役人らしくない本音の物言いで接するのがこの人の真骨頂。7月に就任してから2ヵ月が過ぎ、道内各地を回った高原会長に協会運営の方針や足下の景気体感について聞いた。(写真は高原陽二会長)
――まず就任の抱負から聞かせてください。
高原 保証機関はともすると金融の後を追いかけることになるため、中小事業者との接点が少なくなります。そうではなく、我々もできる限り行動することが必要。情報交換や地域の経営サポート会議など様々な枠組みを持っており、それらを通して“顔が見える協会づくり”に邁進したい。
――経営サポート会議とはどういうものですか。
高原 経営サポート会議は当協会が事務局をしており、個別中小企業の経営支援を関係者一同が集まって議論し、方向性を出す会議。中小企業円滑化法の期限切れの前から実施しています。金融機関、商工団体、中小企業診断士などが入って経営指導、経営診断を行うもので、期中支援の有効な手段。期中支援とは、融資してからの中間段階の支援ということです。代位弁済を減らすために期中支援を重視していますし、何より貸しっ放しではなくその後のフォローをすることが大切ということです。
――保証先の中小事業者に専門家の派遣も行っているそうですね。
高原 専門家の派遣は、相手企業の求めに応じて行っています。中小企業診断士など求める人材を派遣していますが、中には小売業向けにディスブレイの専門家なども商品展示の工夫をしてもらうために派遣しています。機関誌を出すことに加えて、「顔の見える化」を総合的に実施していく途上です。
――今年3月末で切れた円滑化法後を睨んだ中小企業支援ネットワークもありますね。
高原 ある意味、国策で組織されたのが中小企業支援ネットワーク。すべての関係者が入っており、その窓口が当協会です。当協会は単に金融機関の融資案件に保証をするだけではなく、地域の活性化が究極の狙いです。公的保証機関としてその役割を積極的に果たすためにはこうした会議等に積極的に参加して発信力を高めなければいけないと思っています。
――会長として何を大事にして組織運営を担っていきますか。
高原 副知事時代も言ってきたことですが、現場主義ですね。待っているのではなくて行動しないと結果は出ません。協会のプレゼンスを高めたい。これまではあまりそこに力が入っていなかったですから。
中小企業の元気は北海道の元気です。当協会の使命はまさにそこだと思っています。一般の融資に乗らないところを保証つけて融資してそのお金を設備資金、運転資金として活かしてもらう。公的保証機関はここしかない訳ですから。
――就任2ヵ月で道内をほぼ回られたそうですが、景気の足取りをどう体感されていますか。
高原 皆さん慎重で良いとは言えませんが、「悪い」「悪い」と言わなくなった。副知事時代の4年間は悪い話しかなかったですから、それだけでも好転しています。ただ、農林水産など一次産業と密着している流通加工業が道内には多いので、収穫、漁獲に異変があるのは気になります。
政策とのマッチングが必要ということも痛感しています。国や道、経産省なりがどういう政策誘導をしていくか、そのためのツールとして金融をどう使うか。その金融の一翼を担うのが当協会の役割ですから政策金融、制度金融を実態に合ったものにどんどん変えて行ってほしいですね。
――トップになって心構え、肝に銘じていることはありますか。
高原 高い倫理観と率先垂範です。いろんな意思決定に積極的に関わって行かないと。お任せではだめですね。恥ずかしながら副知事時代と根本的に変わったのは一度も怒ったことがないことなんですが…。
――最後に趣味や休日の過ごし方を教えてください。
高原 趣味とは言えないですが、今は当協会各支店の職員の写真を撮り、全員に送っています。土日はその写真の整理で過ごしています。カメラはデジカメ1台、以前の一眼レフカメラを3台持っていますが、すべてニコン。カメラが趣味と言う訳ではなくて私自身、人と付き合うのが好きなのでしょうね。写真を撮って、撮りっぱなしじゃなくて送る。そこから人とのコミュニケーションが始まります。カメラが趣味というひと言で片づけると誤解される(笑)。