大地みらい信用金庫・伊藤哲也理事長インタビュー「地域の発展こそ使命」「審査部を本業支援部に変えた狙い」

金融

 ーー遠藤前理事長の「価値創造」の思いのもと設立した「KONSEN(根釧)魅力創造ネットワーク」は、根釧経済の連携にひと役買いました。

 伊藤 遠藤前理事長が中心になって、2012年12月に設立されました。地域や企業をつなぐネットワークとして、食や観光の分野で大きな役割を果たしてきましたが、今回ひと区切りついたということで、一旦閉じることにしました。価値を高めることに力を尽くす、新たな集まりを検討中です。

 価値を高めることでいえば、ふぐがあります。今、ふぐの水揚げ量は、北海道が一番です。根室管内でも羅臼町を中心に、真ふぐの漁獲が増えています。しかし、ふぐは、資格がないと調理ができません。このため、非常に安い値段で冷凍して、本州に送られたりしています。これは、もったいない。2024年11月後半には、友好金庫の大分みらい信用金庫(本店・大分県別府市)の紹介で、ふぐ料理が盛んな大分県に、取引先と勉強に行ってきました。資格を取る機運を高めて、羅臼の地元で調理できる店が広がっていけば、世界遺産知床の海で獲れた天然真フグ料理を味わえるようになります。観光で期待されるガストロノミー(美食旅)にもなるのでは、と挑戦していきます。

 ーーアドベンチャーツーリズムとガストロノミーが、根室管内の観光には、ピッタリときます。

 伊藤 根室管内は、全国さまざまな地域から入植した歴史があって、地域によって文化が違います。移動しながら食と文化の歴史を学ベるガストロノミーには、最適な地域ではないかと思います。「KONSEN魅力創造ネットワーク」で浸透してきた地域連携の出口戦略としても、最適ではないかと。それに、厚岸には、おいしいウイスキーもありますし、根室の地酒もありますから。

 ーー最後に、趣味や座右の銘を教えてください。

 伊藤 その前にお伝えしておきたいことがあります。理事長に就任してから、取引先などからよく、『長期政権になるね』と言われます。でも、私は、全くそうは思っていません。理事長は、機関=役割だと思っていますから、私よりもふさわしい人が出てきたら譲ります。このことは、皆さんに伝えています。

 趣味というほどではありませんが、読書と美術鑑賞が好きです。最近は、仏像にも興味があります。好きな作家は、宮沢賢治。どの著作も好きですが、『よだかの星』は特に好きですね。座右の銘は、いくつか自分に言い聞かせているものがあります。一つは、『慢心は最大の敵、人は長所で躓き、短所に救われる』です。また、三浦綾子さんの『言葉は力である。一言が命を奪うこともあれば、受けた人の人生を変えることもある』です。いずれも肝に銘じています。(終わり)

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