北洋銀行頭取直轄「成長戦略企画室」、岸波光弘室長「経営環境の変化に素早く対応」

金融

 ーーこの分野での信用金庫、信用組合との連携は。

 岸波 もちろん信金さん、信組さんとこの分野でも連携していきたい。

 ーー他の金融機関との情報共有は初めてですか。

 岸波 観光、食を推進していくにあたって、それぞれ別軸で企画していましたが、新産業分野ではセミナーやマッチングなどについて、一緒に対応する方向になると思います。道庁、札幌市、千歳市なども含めて一緒にやっていきたい。
 北海道経済産業局は、新分野の人材育成を含めて進めていこうとしているので、この動きとも連携する予定です。ラピダスは、国策で大手企業の出資も入っていますから、私たちが直接、投融資をすることはあまりないと思います。ただ、そのサプライチェーンの一角には、幅広く、道内中小企業が食い込んでいける素地があると思います。そこに関して、私たちが入っていけたらと思います。

 ーー工場の建設作業員の宿舎問題や働く人たちの住居問題も出ています。

 岸波 熊本でヒアリングしてきた中で、まさに金融機関に求められる役割がそこだと思いました。建設作業員や従業員の住居をどう確保するのか、熊本では、ホテル一棟をそのまま借り受けて、24時間3交代制で対応、夜中でもホテルから多くの人がバスに乗車して出入りしています。最初は、TSMC側も工場の近くの宿舎を希望して、何か情報がないかと金融機関に聞いきたそうですが、全部埋まっていて、どんどん広がり、20㎞、25㎞も離れた場所で宿舎を確保せざるを得なくなっています。作業員向けの宿舎確保は、それくらい大変だということです。

 ラピダスの発表では、敷地内に宿舎を建てて、約2000人を収容するということですが、最盛期に6000人が働くことになれば、とてもカバーできない。熊本でも大きな課題になっているので、工場稼働後の従業員向け住宅の提供を含めて、私たち金融機関が自治体と連携して生活基盤のサポートをしていく必要があると思います。

 ーー成長戦略企画室の人員体制は。

 岸波 ゼローボンに向けてお客さまと接触している部署や再生エネの投融資部門の兼務者を含めて8人ですが、今後増員して7月までには12人体制にします。

 ーー頭取の意気込みが伝わってきますね。

 岸波 直轄組織なのでストレートに情報が上がるようになっています

 ーー半導体には具体的な動きが出ていますが、洋上風力、再エネ分野の動きは。

 岸波 勉強会を道銀、道庁などと一緒に行ってきました。洋上風力も、北海道は有望地域に指定されます。半導体と同じように、洋上風力の羽や躯体製造、メンテナンスは欧米メーカーや国内大手企業になりますが、周辺のインフラ整備などに関しては、道内の企業が参入できる余地は十分あります。官民連携でサポートできる仕組みを構築し、何十兆円と道内に来た時、ある程度一元的に進められるようにしたい。

 ーー阿部さんは専任ですね。

 阿部 今年3月末まで道経産局に2年間出向していました。その前は、本店営業部に所属していました。道経産局では、たまたまですが、半導体を担当する部署でした。

 ーー意気込みを聞かせてください。

 阿部 頭取直轄の組織ということで、非常にやりがいを感じていますし、責任も感じています。銀行業界は今、変革期ですが、その中で、先進的で前向きで、ど真ん中の仕事に携われるのは非常に貴重な機会です。精一杯頑張りたい。

 ーー本日は、ありがとうございました。
※2023年7月10日記事一部修正しました。

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