北洋銀行頭取直轄「成長戦略企画室」、岸波光弘室長「経営環境の変化に素早く対応」

金融

 北洋銀行(本店・札幌市中央区)は、2023年3月1日付で経営企画部内に頭取直轄の成長戦略企画室を新設した。GX(グリーントランスフォーメーション)や半導体産業などを起点にした北海道の発展に向け、組織横断的な取り組みを企画、推進する組織。同行が頭取直轄組織を設けるのは初めてで、北海道銀行(同・同)とも協調して新産業創出をサポートする。岸波光弘室長(49)と阿部辰彦主任調査役(39)に成長戦略企画室の活動などを聞いた。(写真は、右から成長戦略企画室の岸波光弘室長と阿部辰彦主任調査役)

 ーー成長戦略企画室を設置した狙いは。

 岸波 北海道では、G7札幌気候・エネルギー環境大臣会合の開催を控え、2023年に入ってから道内の自治体、政財界で北海道の再生可能エネルギーの導入ポテンシャルの高さを、いかに北海道の成長につなげるかという議論が高まりました。さらに2月に入って、GX推進法が閣議決定され、今後10年間で150兆円を超える官民のGX投資が行われることになりました。全国で最も再エネ導入のポテンシャルが高い北海道が、こうした動きに遅れをとるわけにはいかない状況もありました。
 ほぼ同時期に、次世代半導体の国産化を目指すラピダス(本社・東京都千代田区)が千歳に最初の工場を建設することになり、早急な情報収集が必要と判断、新年度の4月1日を待たず、3月1日に前倒しで頭取直轄の組織として誕生しました。

 ーー食や観光も北海道の成長に欠かせません。成長戦略企画室では、この分野もカバーするのでしょうか。

 岸波 当行には地域産業支援部があって、そこで食や観光について、地域ごとに対応しています。ただ、地域産業支援部だけでは、新産業には対応しきれません。成長戦略企画室では行内各部はもとより、道庁、札幌市、経済産業省、環境省など関係官庁と一緒に情報収集をして、一緒に政策をつくり上げることに取り組みます。北海道の成長に資するため、金融機関としてどういうサポートができるのか、自治体や官庁と一緒に考える新しい機能を、成長戦略企画室に持たせています。
 どのように企業誘致をしていくのか、道内中小企業がサプライチェーンにどう入り込むのか、ということを官民連携で進めていきたい。

 ーー具体的にはどんな活動をしていますか。

 岸波 九州では半導体産業が集積していますが、新たに台湾のTSMCが熊本に工場を建設しています。私たちは現地に行って、地元自治体や金融機関がどのような動きをしているのかについて、情報収集してきました。さまざまな課題があることも確認してきました。同じ半導体であっても、TSMCとラピダスは大きく違います。TSMCは既に確立された技術やサプライチェーンを利用します。この先、どうなるのかが、ある程度見えている中で、地元自治体や金融機関は動いています。ラピダスは、国策としてゼロからつくり上げる工場なので、北海道は熊本と違う動き方が必要になるでしょう。官民連携を強めないと進まないと考えています。

 地域金融機関である当行は、北海道銀行さんともしっかり連携することとしました。この分野では、競争より協調、連携に舵を切りました。それぞれが得る情報を共有しながら動いているところです。個社別の情報は、当然守秘義務があるのでそういったものはこれまで通りですが、それ以外に外から得てきた情報は、道銀さんとも共有しますし、逆もあります。

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