ホテルのラウンジのような金融機関の支店が登場した。大地みらい信用金庫(本店・根室市)は11月24日、札幌市内2店舗目となる「山の手支店」(西区山の手3条6丁目2-11)をオープンさせた。気品漂うアート、特注の照明、ぬくもりのあるソファやテーブル、カウンターよりも個別ルームを重視した店舗設計。狙うのは、資産運用や資産承継、相続など質の高い相談業務。次世代の金融業務を先取りした、チャレンジングな支店になっている。(写真は、大地みらい信金山の手支店のオープニングセレモニー。左から大地みらい信金山の手支店長・横澤英俊氏、西区市民代表・渡邊希氏、山の手商工振興会・信田千洋氏、山の手連合町内会・本間貴司子氏、大地みらい信金・遠藤修一理事長)
大地みらい信金は、2015年7月21日に「札幌支店」(中央区北3条西3丁目1-2、札幌駅前藤井ビル1~3階)を開設、道東と道央の企業を繋ぐ架け橋として実績を積んできた。一方で、取引先経営者やその家族の資産運用、資産承継、相続、事業承継など相談業務にも注力。
こうした業務のノウハウを得るため、りそな銀行(本店・大阪市中央区)に職員を派遣、1年半から2年間、東京や大阪で実践的な経験を積み、相談業務の質を高めてきた。現在、りそな銀行での経験者は14人になっている。
今回の「山の手支店」は、富裕層の多い円山、山の手地区を対象に相談業務を展開するために出店したもので、今後の金融機関のコア業務として育成していく先端現場の役割も持たせる。職員数は支店長を含め5人。
大地みらい信金の本拠地である根室、釧路地区の取引先経営者などが高齢になって札幌に移り住むケースや事業承継先を求める例などもあるため、「札幌支店」と「山の手支店」が、連携してその受け皿になるとともに新規顧客も開拓していく。じっくりと相談を行えるように来店予約サービスを導入する。
(写真は、個別ルーム)
「山の手支店」は、「北洋銀行山の手出張所」跡を取得して、リノベーションしたもので、敷地面積154・81坪(511・78㎡)、延べ床面積54・90坪(181・49㎡)。店内の設計は大建設計(本社・東京都品川区)、施工は田中組(同・札幌市中央区)。特注照明は、有限会社イリス(同)が手掛けた。アートは、漆造形作家、渡邊希さんの「ながれ」や実際のカニ漁の網を利用した「開」などが掲げられている。また、3室の個別ブースやローカウンターには、カンディハウス(本社・旭川市)のソファやテーブルを使用している。
大地みらい信金の遠藤修一理事長は、「金融は、人と人の関係という原点に戻ってくると思う。その時に必要なのは質の高い相談サービス。相続や資産形成、事業承継など、お一人お一人の家庭や商売のことをお聞きして一番良い形の答えを一緒に歩みながら考えいきたい」と話していた。