(写真は、インタビューに応える忠村浩志理事長)
ーー金融検査マニュアルが廃止になり、引き当てについて各金融機関の実情に合わせられるようになりました。
忠村 引き当て基準は将来的には変えていこうと思っていますが、具体的に各業種に当てはめた引き当て事例が現在はなかなかありません。当局は金融検査マニュアルの継続も否定しないということなので、この1~2年は今まで通りの基準で対応します。
ーー金融円滑化法の実質終了から1年近くになりますが、返済猶予後に立ち行かなくなるケースも出てきています。
忠村 返済猶予先を訪問して、どの部分が良くて、どの部分が良くないのかを十分相談させていただくことを前提にしています。その中で返済の割賦金が重すぎるのであれば対応しています。地元から事業者がなくなることは地域に元気がなくなることなので、そういう目線は変えずに対応していきます。
ーー2014年12月に上部団体の全信組連(全国信用協同組合連合会)を引受先とする優先出資証券(※優先出資証券の信託受益権は国が買い取り)を発行、80億円を調達しましたが、現在の状況は。
忠村 長いスパンの支援ですから返済はまだスタートしていません。優先出資の配当は毎年見直しになりますが、業績状況にあった配当利率になっています。3年ごとに見直しをして最終的には一定年限で償還することになっています。返済資金の積み立てはまだスタートする段階ではありませんが、利益は当初の計画より多いペースで推移しています。
ーー昨年6月に理事長に就任されましたが、生え抜き理事長は11年ぶり。就任から半年、あらためて信組運営の考え方を聞かせてください。
忠村 マイナス金利の金融環境ですから当信組だけの特別な方策はありません。以前なら、金融機関は事業者から見るとお金を借りる場所という感覚があったと思いますが、私は事業者と当信組は同じ仲間だと思っています。地元の事業者が事業を継続していく中で当信組と相談してもらい、必要な事業者に資金を供給していくことしかないと思います。
ーー2020年度の抱負を教えてください。
忠村 20年度は全信組連から資金支援をいただいて以降、3年ごとの見直し時期にあたります。前理事長が在任中に、どういうビジネスモデルで当信組が歩むべきかについて方向性を示されたので、それに沿った形で外回りや融資の担当者がお客さまのところに訪問させていただくことから始めたい。女性も融資部門に多くいますから、事業者への訪問回数をできるだけ多くしていくことがすべてのスタートだと思っています。(終わり)